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鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

髄液排除試験(タップテスト)で歩行が改善しても、本人が納得しなければ手術は出来ない。(当たり前)

 

検査や治療を行うに当たっては、当然だが本人の同意が必要である。しかし、患者さんが認知症の場合、本人の同意を得るのは途端に難しくなる。

 

ただし、認知症により理解力や判断力が落ちていても、本人が穏やかに医者の説明を聞くことができて、かつご家族のご理解と同意があれば、それを「ご本人、ご家族の同意」として検査や治療を行うのが一般的である。

 

しかし、病識のなさが突出し、かつ自分が感じる不快な症状にのみ意識が集中している方や、これまでの検査や治療の経緯に深い恨みを持っている方は、ご家族が強くご希望されても、治療や検査を進めていくのは困難である。

 

70代男性 正常圧水頭症+α 

 

初診時

 

奥様より電話相談。何年も前から、足先の痛みとしびれの症状。〇〇病院整形外科に入院。「腰が原因」と言われた。病名は分からない。


又、今は治療してはいないが、近医でレビー小体型認知症と言われ、一時期治療していたとのこと。(受付〇〇記載)

 

「これまで散々検査をさせられた。整形外科では尾てい骨に注射をされた、あれが一番しんどかった。なのに、原因不明原因不明。もう何もしたくない!」と不満ありあり。検査の詳細は不明。

 

左足趾のしびれ。足首から先を切ってしまいたいと。触ると冷たく血行不良はある。入室時の歩行を見る限り、明らかなすり足歩行。


半年前の他院での採血では、HbA1cは6.9。しびれは5年来らしい。両側性ではないが、糖尿病性神経障害の可能性は?

 

両側上肢rigid軽度あり。以前PET検査にてDLBを指摘されたようで、5ヶ月ほどリバスチグミンを使ったが変化がなく、その後他院に移り抗血小板薬を処方されるも自己判断で中止。

 

今回は認知症の相談ではなく、足のしびれの相談。しかも本人の希望ではなく、奥さんの希望。長谷川式や視空間認知テストなどは、本人の怒りを買うだけになりそうなので止めておく。rigidを除いて、目立ったレビー感は感じなかった。

 

頭部CTは撮らせてくれた。左基底核から放線冠にかけての陳旧性脳梗塞痕及び、DESH(水頭症を示唆する画像所見)を認めたが、水頭症の可能性についてこれまでに指摘されたことはないようだ。

 

足趾のしびれと痛みには、ペリシットで対策開始。その次はキネダックかな?
脳梗塞予防及び認知面向上を期してプレタール50mgを開始。

 

4週間後

 

A1cは6.7。前回受診から炭水化物は減らしているとのことなので、このまま糖質制限継続で様子を見る。

 

再度、NPH(正常圧水頭症)の可能性について説明。すり足は顕著だが、本人は「これまで散々検査をしてきて今更何もしたくない」と繰り返す。しびれだけなんとかしてくれ、というご希望だし、無理強いは出来ない。奥さんの検査希望は強いようだが・・・

 

ペリシットは効果なしかな。キネダックに切り替える。トランスアミナーゼわずかに高値。


朝と昼寝後の胸焼けの訴え。タケキャブ開始。

 

4週間後

 

キネダックでしびれ改善なし。食欲が落ちたとのことなので、一旦中止。今後はメキシチールかな。糖質制限頑張って。

 

3回タケキャブを飲んだら胃酸逆流は治まったと。タケキャブ終了。

 

旅行で行った先で、足が進まず歩けなくなったのが辛かったと。本人のご希望あり、タップテストを〇〇病院に依頼。

 

(追記)〇〇病院からの情報提供書では、タップテストで自覚的な足の軽さがみられたようだ。

 

6週間後

 

〇〇病院でのタップテスト直後では、本人は「足が軽くなった」と言っていたようだ。しかしその後、穿刺時の痛みの記憶が勝ったのか、本日の外来では「何故オレがあんな目に遭わなければいけないのか!!」と激高。

 

当方が見ても歩行は確実に改善しているし、奥さんも歩行改善は強く実感している。しかし、完全に本人の病識がない。LPシャントは無理と判断

 

「脳梗塞予防でプレタールのみの内服はした方がよい」、という説明には不承不承納得された。

 

(引用終了)

 

頭頂葉脳溝描出不良