鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

対人スキルに乏しい医者。

ざわめく中で複数の人から声をかけられ、それらに耳を傾け当たり障りのない返答を返すことが苦手だ。

 

 苦痛を感じた時には、脳内でStingの名曲を流すことで現実から逃避するようにしている。

 

youtu.be

 

 時に大声で、時に囁くように話しかけてくる人たちを相手にしながら、

 

「この人たちは、自分と同じスキルがあるという前提で相手を見ているのだろうな」

 

と、考えたりする。そして、「私も、あなたと同じスキルを持っていますよ」という体を装う。

 

ふと、横に座る先生が話しかけてきた。誰かは知らないが、適当に話を合わせる。その会話にまた、向かい側の知らない誰かが参加してきた。

 

そのうち、二人で盛り上がりはじめたのを確認し、そっと気配を薄めてトイレに行きタクシーを呼んで家路に着いた。

 

タクシーの中で安堵のため息をつきながら、その日の消耗を最小限に抑えられたことを静かに喜んだ。

 

人と会うことで消耗する自分がいる

 

「デイーサビスには元気に行くのに、デイ以外の日は横になってばかりいます。どうしたらいのでしょう?」

 

と、患者さんの家族からよく相談を受ける。

 

「それは、人と会って気を遣い消耗するからですよ。社会性を発揮している証拠なので、大目に見てあげましょうよ。」

 

と、社会性の低い自分が答えている。

 

僕の対人スキルは仕事(外来診察)で発動され続け、帰宅の途につく頃には尽きかけている。

 

なので、楽しめないことが前もってわかっている場には、それが講演会だろうが飲み会だろうが極力足は運ばない。無理にスキルを発動させ、消耗したくないからだ。

 

「今日は良い出会いがあるかも?」と、セレンディピティに期待するほどナイーブでもない。

 

このような生き方をしている僕にとって、スキルの発動を必要としない昔なじみと酒を飲むことが、数少ない楽しみの一つとなっている。

 

二人ないしは三人ぐらいが最も心地よく感じるが、一人で飲む酒もまた良し。

 

静かに飲みながら、色々な事を考えられる。