鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

【実験】便秘薬のモビコールを試してみた。

2018年11月20日、慢性便秘症の治療薬モビコールが薬価収載された。

 

以前グーフィスという便秘薬を紹介したことがあるが、今回はモビコールの特徴と使用感、そして自分が考えるモビコールの良い適応について説明する。

 

モビコールとは?

 

モビコールの特徴

 

モビコール®は、慢性便秘症に対して使用可能な国内初のポリエチレングリコール製剤で、2歳以上の小児および成人において使用が可能です。

 

本剤は、主成分のポリエチレングリコール(マクロゴール4000)の浸透圧効果により、腸管内の水分量を増加させ、その結果、便中水分量が増加、便が軟化、便容積が増大することで、生理的に大腸の蠕ぜん動運動が活発化し、排便が促されることを期待した薬剤です。また、水に溶解して服用するため、適切な硬さの便がみられるまで適宜増減が可能なことも特徴です。(EAファーマ株式会社HPより引用)

 

モビコールが腸管内で水分を保持することで便に水分が含まれて便の容積が増大すると、腸管蠕動運動が活発となり自然な排便に繋がる。

 

浸透圧が等張なので、腸管壁から水が奪われることがあまりなく、また、腸管から吸収されることもほとんどないため、電解質異常をきたしにくいという利点がある。

 

ちなみに、大腸カメラの前処置として使用される「モビプレップ」は、モビコールとほぼ同じ薬である。

 

モビコールの副作用だが、国内臨床試験では192例中33例(17.2%)に認められ、主なものとして下痢7例、腹痛7例(いずれも3.6%)であった。

 

この数字が、他の便秘薬と比較して高すぎるということはないだろう。

 

便秘薬の副作用は通常、用量に比例して増えるであろうから、実際に服用しながら自分にとっての至適用量をつかむ必要がある。

 

モビコールの用量用法

 

2歳以上7歳未満の幼児、7歳以上12歳未満の小児、成人及び12歳以上の小児と3段階の用量が設定されている。以下、EAファーマのHPより引用する。

 

2歳以上7歳未満の幼児には、初回用量として1回1包を1日1回経口投与する。以降、症状に応じて適宜増減し、1日1~3回経口投与、最大投与量は1日量として4包まで(1回量として2包まで)とする。ただし、増量は2日以上の間隔をあけて行い、増量幅は1日量として1包までとする。

7歳以上12歳未満の小児には、初回用量として1回2包を1日1回経口投与する。以降、症状に応じて適宜増減し、1日1~3回経口投与、最大投与量は1日量として4包まで(1回量として2包まで)とする。ただし、増量は2日以上の間隔をあけて行い、増量幅は1日量として1包までとする。

成人及び12歳以上の小児には、初回用量として1回2包を1日1回経口投与する。以降、症状に応じて適宜増減し、1日1~3回経口投与、最大投与量は1日量として6包まで(1回量として4包まで)とする。ただし、増量は2日以上の間隔をあけて行い、増量幅は1日量として2包までとする。

 

これまで幼児や小児に処方したことはないが、成人への処方数は少しずつ増えており、総じて手応えは良い。

 

味は少し塩っ気を感じる程度で、飲みにくいということはない。

 

気になる薬価だが、1包83.9円。

 

成人が通常量2包を毎日飲むと167.8円/日となる。マグネシウム製剤のマグミット錠250mgは1錠5.6円なので、新薬だから当然ではあるが、お値段はする。

 

発売直後から1ヶ月間、自分で飲んでみました

 

便秘人にとっては気になる新薬モビコールを、1ヶ月連続で飲んでみたので御報告する。

 

モビコール 口コミ

モビコール。1回2包で服用した。

モビコールの飲み方

30秒ほど混ぜるうちに、ほとんど溶ける。


150mlほどの水に溶かして飲んだが、味は少し塩っ気を感じる程度で飲みにくいということは全くなかった。

 

モビコール 便秘カレンダー

2018年12月2日にモビコール開始

 

眠前に2包という飲み方で2018年12月2日から開始したのだが、1週間後の12月9日から明らかに便の性状が変化した

 

普段は”ウサギのフン”のようなコロコロ便なのだが、いわゆる”バナナ型”にはっきりと変化し、特に力むことなくスルスルと出てくれたのは驚きだった。これまでは、トイレで30分ほど格闘するのが当たり前だったからだ。

 

上記排便カレンダーで〇が付いている日が、普通のボリュームでバナナ型の便が出た日である。

 

ハッキリ言って、これまで色々と試してきた便秘薬の中で最上の使い心地だった。

 

モビコールいいよモビコール(^o^)/ 

 

実験は1ヶ月続けて一旦終了したが、中止して1週間ほど経つと、またコロコロ便に戻ってしまった。1ヶ月ほど考えた末、2包を隔日内服で飲むことにした。

 

「毎日飲む」という前提であれば恐らく、モビコールが既存の便秘薬の中で最も自然に近い排便を提供してくれるように思う。

 

「屯用で使いたい」という人は、一回量を3包、4包と増やせばいいかもしれないが、試していないので何とも言えない。やはり、毎日飲む便秘薬と考えた方がよいだろう。

 

「モビコールの良い適応」と自分が考えるのは、以下の様な人。

 

  • 「増やせば下痢になり、減らせば出ない」と、マグネシウム製剤の調整に難渋している人
  • 高マグネシウム血症のリスクがある、腎機能が低下した高齢者
  • 便秘が必発のパーキンソン病、またはレビー小体型認知症の方

 

次回は、モビコールが著効したレビー小体型認知症の方を紹介する。