今後このような紹介が増えてくるような気がする。
93歳女性 認知症疑いで紹介受診
初診時
(既往歴)
高血圧症
(現病歴)
特に困ったこともないが、たまたまかかりつけ医が長谷川式テストを行ったところ30点満点の14点であったと。認知症が疑われるとのことで紹介。 明るい笑顔の穏やかなご婦人。
(診察所見)
HDS-R:18
遅延再生:0
立方体模写:OK
時計描画:OK
クリクトン尺度:0
保続:なし
取り繕い:なし
病識:あり
迷子:なし
レビースコア:-
rigid:-
幻視:-
ピックスコア:-
頭部CT左右差:なし
介護保険:
胃切除:
歩行障害:なし
排尿障害:なし
易怒性:なし
(診断)
ATD:
DLB:
FTLD:
MCI:
その他:
色々問いかけるが大方問題なし。その都度「お陰様でね〜」と穏やかに答える。 周辺症状なくADLも完全に自立している。お元気で。 何かあったらご相談下さい。
(記録より引用終了)
長谷川式のカットオフは21点。これを下回ると、みんな認知症なのか?
そんなことはあり得ない。
そもそも、93歳女性の長谷川式テストの平均点など存在しない。 遅延再生0点には注目してもいいと思うが、それだけで認知症とは診断し難い。 では、93歳の女性で軽度認知障害(MCI)という診断はあり得るだろうか?
www.ninchi-shou.com
診断して悪いことはないだろうが、
ではMCIと診断して、その先どうするの?
という疑問は残る。
特に何もしないのであれば、無理に診断(何らかの病名を付けること)しなくてもいいのではないか、と個人的には思う。
- ADLが自立している
- 図形、時計がしっかり描けるので頭頂葉機能は保持されている
- 周辺症状はない
- 家族が困るようなこと(症状)は特になく、クリクトン尺度は0点(介護負担がない)
このようなことを総合的に判断して、医療介入は不要でしょうとお伝えしたところ、
そうですよね〜(笑)
と、ご家族は満足げに頷いて帰って行かれた。
しかし、納得いかずに(?)医療介入を強くご希望する家族もいる。
次回に続く。
www.ninchi-shou.com