診察室への入室時に予想を付けて、診察して確信に至る。
82歳女性 レビー小体型認知症
(引用開始)
初診時
(既往歴)
一過性意識消失発作?
高血圧症 脂質異常症で治療中
(現病歴)
はっきりした幻覚ともの忘れ症状。娘さんと一緒に来院。独居。
動作緩慢で声は小さく、表情は暗い。DLB感強い。
(診察所見)
HDS-R:14
遅延再生:3
立方体模写:OK
時計描画:OK
クリクトン尺度:2
保続:なし
取り繕い:なし
病識:あり
迷子:なし
レビースコア:6.5
rigid:なし
幻視:あり 小さな子供
ピックスコア: FTLDセット4/4
頭部CT左右差:なし
介護保険:なし
胃切除:なし
歩行障害:なし
排尿障害:なし
易怒性:なし
(診断)
ATD:
DLB:〇
FTLD:
MCI:
その他:
典型的DLB。イクセロンパッチ4.5mg+抑肝散2.5g夕食前の、レビーセットで介入開始。
2週間後
- HDSR21
- 遅延再生5
- 幻視は明らかに減った
- 夜間の寝言もほとんど言わなくなった
レビーセット著効。
フェルガードLAで補強開始。
(引用終了)
認知症診療に「見た目」は重要
先入観を持たずに診察を行い、得られた情報を総合して診断することが重要である
学生時代の講義では、上記のように習った記憶がある。全ての可能性を考慮せよ、ということだろう。
ご尤もだとは思うが、疾患が持つ特徴的な印象というものはある。この「見た目」をとっかかりにしながら診断に肉付けしていく作業(筋固縮であったり、画像情報であったり)を、より素早く出来るようになれば、それに越したことはない。
その為には、「先入観」をもって診察に当たるのもよいのではないだろうか。
先入観を持って診察するが、診断にあたっての情報は複数揃える。ただし、診断が間違っていた際に大やけどしないような処方を心がける。診断が途中で変わる可能性も、常に考えておく。
このように考えながら、診療を行う日々である。
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