認知症とよく間違われるケース
認知症と思われていた人が、実は便秘が原因だったり、睡眠薬が原因だったり、というのはよくある話。
今回は、睡眠薬が原因だったと思われる方をご紹介。
83歳女性 睡眠薬で認知症疑い
初診時
(記録より引用開始)
(既往歴)
白内障
(現病歴)
一時期、同じ事を繰り返して聞くことがあった。娘さんが内服を調べると、ハルシオンを3錠?飲んでいたので止めさせたところ、しばらくして以前の母に戻ったらしい。念のためにと来院。上品な印象のご婦人である。
(診察所見)
HDS-R:27
遅延再生:OK
立方体模写:OK
時計描画:OK
クリクトン尺度:2
保続:なし
取り繕い:なし
病識:あり
迷子:一回あり
レビースコア:施行せず
rigid:なし
ピックスコア:施行せず
頭部CT左右差:なし
介護保険:なし
胃切除:2/3切除
歩行障害:なし
頻尿:なし
易怒性:なし
(診断)
ATD:
DLB:
FTLD:
MCI:
その他:
正常。眠剤の影響でしょうね。海馬萎縮は軽度だが、側頭葉外側と皮質円蓋部の萎縮はかなり目立つ。何かあったらいつでもいらしてください。
(引用終了)
めでたしめでたし・・ではない
眠剤を止めて元に戻っているので、「良かったですね」でお終いにすると、この方の場合は少し心配である。
何故なら、側頭葉外側部と皮質円蓋部の萎縮がかなり目立っているからである。
「器質的な脳萎縮が先行した結果、脳の耐性が低下して眠剤の影響を受けやすくなっていた」
と考えておいた方が良いと思う。
つまり、先々の本格的な認知症発症の可能性は留保しておくということ。*1
こういう予想は、杞憂に終わればそれに越したことはないし、先に備えて色々とイメージしておくことが大事だと考えている。