正常と病気の境目は、とても曖昧である
認知症の定義については、大体上記の様に捉えている。
では、
- うつ
- 軽度認知機能障害(MCI)
- 加齢による生理的な衰え
この3点をどう考えるか。うつに関しては、
このバランス8を用いることで、かなり除外出来うると感じている。
「これは本格的なうつだな」と判断したら、精神科の先生に相談するようにしている。
一方軽度認知機能障害に関しては、
こういう定義は一応あるようだ。⑤はクスッと笑える。それはそうだろう。
明確な線引きは可能か?
うつの除外に関してバランス8はかなり有用だが、では軽度認知機能障害(MCI)と、加齢による衰え(一般的に「年でしょう」と言われる状態)はどう区別したらいいのだろう。
上記の軽度認知機能障害の定義に、実は臨床上さほどの有用性はない。更に、最近はMCI due to AD(アルツハイマーを発症する前段階の軽度認知機能障害)という概念も提唱されており、ややこしいことこの上ない。
明確に症状を呈する認知症はさておき、個人的には軽度認知機能障害と加齢による衰えは明確に区別できないし、また区別する意味もあまりないのでは?、と考えている。
日常生活能力が低下してきた時点で、それが記憶力低下や遂行能力低下によるものであれば、年齢からくるものだろうが軽度認知機能障害からくるものであろうが、いずれにせよ「様々な準備が必要となってきた」という点で違いはない。
これは薬でどうのこうのという話ではなく、単純に「これまでどおりに出来なくなりつつあるなら、どういう準備や工夫をしましょうか?」という話である。
まとめ
- 大うつが疑われるようなケースは精神科に相談。
- 軽度認知機能障害が疑われるケースで、ご本人やご家族の希望があり、なおかつ穏やかなアルツハイマーの要素が感じられるのであれば、少量アリセプトを試してみる。自覚的他覚的に改善を認めるのであれば、その量で継続。不具合を感じるようであれば中止して、運動を含めた予防に関する指導を行い3ヶ月後に再診。
- 加齢による衰えだろうなぁ、という場合にはこれもまたご本人、ご家族と相談。もし困っている症状や生活状況があるのなら、それに応じて薬剤及び介護保険申請などを検討する。案外「記憶力は別に落ちてもいい。穏やかに過ごしてくれるのであれば。」というご家族は多いものである。
試行錯誤しながら、大体こういう感じで今は診療している。
認知症外来では、
「年ですから仕方がないでしょう」
とは言わないようにしている。
「ある程度は年齢もあるんでしょうけどね」
という言い方はよく使うが、患者さんや家族の抱く印象は大分違うようである。