鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

認知症と糖質制限について①(食後高血糖には要注意)

認知症と糖質制限

糖質にはご用心


糖質制限について勉強していると、今まで常識だと思って考え直すことも無かった様々なことが、ポロポロ剥がれ落ちていくので楽しい。Neurologyに乗ったこんな論文がある。
 
  
(適当和訳開始)
 
目的)この横断研究で目指したのは、健康で高齢,認知症のない非糖尿病集団においてHbA1cや血糖値が高ければ記憶のパフォーマンス、海馬体積や微小構造に悪影響を及ぼすのかどうかを調べること。
 
方法)141名の集団(女性72名,平均年齢63.1歳)。Rey Auditory Verbal Learning Testを用いて記憶検査を行った。末梢での空腹時のHbA1c、血糖値,インスリンの値を調べた。また、3TのMRIを用いて海馬体積や微小構造を評価した。
 
結果)低いHbA1cと血糖値は、遅延再生と学習能力,記憶保持力における高得点と有意に相関していた。多重回帰型モデルでは,HbA1cが記憶パフォーマンスに強く関連していた。記憶に関してHbA1cの値が低いことの有益性は、部分的に海馬の容積や微小構造によって仲介されていることが示された.
 
結論)明らかな2型糖尿病や耐糖能障害がなくても、慢性的に血糖値が高いと,おそらく記憶に関連する脳領域の構造変化によって仲介されることによって,認知機能に悪影響を及ぼすと思われる。よって、正常範囲内であっても血糖値を低く保つことを目的とした戦略は、高齢者のとって認知面に良い影響を与える可能性があり,将来の介入研究で調べられるべきことである。
 
(適当和訳終了)
 

グルコーススパイクを起こさないこと

 
低血糖が認知症のリスクとなるので気をつけよう!というキャンペーンを見ることがある。以下は2012年7月31日の日経新聞から。
 
 
60を下回るような低血糖を慢性的に起こしているなら、確かに認知症のリスクとなりうるだろう。
 
では、どのようにして低血糖は起きうるか?

 

’’糖尿病患者で、血糖値を下げる薬が効きすぎた場合’’

 

これは誰にでも分かる。
しかし、糖尿病患者ではなくても低血糖症状は起きうる。
 
普段から三度三度糖質を摂取している場合(白ご飯やパン、麺など)、常にグルコーススパイク(食後に血糖がドーンと上昇すること)を起こしている。そして、すぐにインスリンが動員されて血糖は下がる。
 
この状態に身体が慣れていると、少量の糖質を摂取しただけでも過剰なインスリンが動員されてしまい、結果として低血糖を起こしてしまうことがある。
 
これが、普通の人達に起きうる低血糖症状。分かりやすいのは、食後の眠気。
 
糖質摂取で急激に上昇した血糖値が、インスリンの作用で急激に下がり、眠くなるのである。同様に、急激な血糖上昇にさらされても眠気は出る。
 
もし低血糖を恐れて(そのような人がどれぐらい存在するのか不明だが)糖質を摂り続けるようであれば、結果的に低血糖を起こしやすくなり、かつ糖尿病発症へと繋がってしまう。
 

結論

 
糖尿病ではない一般人の場合、低血糖を気にするよりは、食後高血糖と過剰なインスリン分泌を引き起こす糖質の過剰摂取にこそ、気をつけるべきである。
 
糖質制限については、今後も引き続き取り上げていく予定。
 
※糖質制限におけるルール(重要)
 
  1. 血液検査で血清クレアチニンが高値で腎障害がある場合
  2. 活動性の膵炎がある場合
  3. 肝硬変の場合
  4. 長鎖脂肪酸代謝異常症がある場合
 
これらの場合には、糖質制限は適応とならない。また、経口血糖下行薬の内服やインスリン注射を行っている人は、低血糖のリスクがあるので必ず医師に相談すること。


ちなみに、自分でも糖質制限に取り組んでいる。今年の元旦から始めて、1/1時点で70kg(身長183cm)であった体重は、7/1時点で62kg。元々朝食は食べない習慣で、昼食は白ご飯抜きの病院食、夕食は野菜と肉や魚で晩酌に焼酎。結構な量を食べる。骨格筋率は35%前後をキープしている。BMIは19前後。運動は一切出来ていないのが残念だが、体調は良好である。
 
 
以下の採血データは、糖質制限開始3ヶ月後、体重64kg時点のものである。
以前のデータが見つからないのが残念だが、過去最も良い数字である。
 
糖質制限をしている医師の採血データ
 
 
 
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