鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

認知症と糖質制限について②(栄養バランスを考える)

様々な病気の危険因子となり得る糖質

  糖尿病(とうにょうびょう、拉,独,英,スペイン語,ポルトガル語: diabetes mellitus)は、血糖値(血液中のグルコース(ブドウ糖)濃度)が病的に高い状態をさす病名である。ひとことに血糖値が高いと言っても、無症状の状態から、著しいのどの渇き・大量の尿を排泄する状態、さらには意識障害、昏睡に至るまで様々であるが、これらをすべてまとめて、血糖値やヘモグロビンA1c値が一定の基準を超えている場合を糖尿病という。糖尿病は高血糖そのものによる症状を起こすこともあるほか、長期にわたると血中の高濃度のグルコースがそのアルデヒド基の反応性の高さのため血管内皮のタンパク質と結合する糖化反応を起こし、体中の微小血管が徐々に破壊されていき、目、腎臓を含む体中の様々な臓器に重大な障害(糖尿病性神経障害・糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症の微小血管障害)を及ぼす可能性があり、糖尿病治療の主な目的はそれら合併症を防ぐことにある。
(Wikipediaより引用)
 
つまりは、血糖値を必要以上に上昇させなければ糖尿病(2型)にはならないということ。

 

ここでは、2型糖尿病(いわゆる生活習慣病)について話を進めていく。
 
糖質は、摂取直後から急激に血糖値を上昇させ、2時間以内には殆ど吸収される。ちなみに、茶碗一杯分のご飯150gには55.2gの糖質が含まれており、2型糖尿病の方がこれを食べると理論的には166mg/dLの血糖上昇が起きる。
 
これが食後の急激な高血糖、いわゆるグルコーススパイクで、心筋梗塞や脳梗塞、最近では認知症の危険因子として注目されている。
 
ちなみに、脂質を摂取しても血糖値の上昇はなく、従ってインスリンの追加分泌はない。
 
また、タンパク質を摂取すると少量のインスリン追加分泌があるが、少量のグルカゴンも分泌されるので、従って血糖の乱高下はない。
 
つまり、「食後に血糖値を上げ、かつインスリンの追加分泌が大幅に必要なのは、糖質だけ」である。
 
※補足
 
血糖値を下げるホルモンであるインスリンは、肝臓で行われている糖新生によって常に血中に放出される少量の糖を取り込むために、常に少量ずつ分泌されている。これがインスリンの「基礎分泌」で、食後高血糖に対して分泌されるのは「追加分泌」である。
 
 

高血糖は高血圧症や脂質異常症にも影響あり

 
 
糖質のリスクとは
 
これらのことを考えると、糖質摂取の健康におけるメリットは皆無のように思える。食は文化という観点からの精神的健康という意味では、また別かもしれないが。
 
過剰摂取ではなく、バランス良く摂取でいいのでは?という考えは勿論ある。
 
日本糖尿病学会において推奨されているバランスは、
 
2) 栄養素摂取比率について
糖尿病における三大栄養素の推奨摂取比率は、一般的には、炭水化物 50~60%エネルギー( 150g/日以上 )、たんぱく質 20%エネルギー以下を目安とし、残りを脂質とする。この炭水化物の推奨摂取比率は、現在の日本人の平均摂取比率がこの範囲にあり、他の栄養素との関係からも妥当と考えられる
(2013年3月【PRESS RELEASE】日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言より)
 
 このようである。
 
「現在の日本人の平均摂取比率がこの範囲にあり、他の栄養素との関係からも妥当」・・・?
 
大体みんなこれぐらい食べているから妥当ということだろうか?
 
三大栄養のカロリー別摂取割合としては「糖質:たんぱく質:脂質=5:3:2」程度のバランスがよいと一般的に言われている。しかし、ここで疑問に思うのは
 
「何故糖尿病食においても、摂取カロリーの半分以上を糖質で摂らなければならないのだろう?唯一血糖値を上昇させるのが糖質なのに。」
 
ということである。普通に考えると
 
「糖質を摂って高血糖が起き、インスリンが追加分泌されて急激に血糖値が下がる。このことが悪いのであれば、糖質以外でエネルギーを摂ったら良いのではないだろうか?」
 
となりそうなものだが。
 
治療において、患者に糖質を摂らせながら、かつ血糖を下げる薬も使うのであれば、それは元栓を締めずに水漏れを直そうとしているようなものではないだろうか。
 
「糖質メインのカロリー摂取」が基本となってしまうのは、「主食(日本人ならご飯)を中心に、おかずをバランス良く」という、日本人なら子供の頃から教えられてきた考え方があるのだろうし、また「脳の栄養元はブドウ糖だけ!」という刷り込みも影響していると思われる(実際には、脳はケトン体も利用できる)。
 

身体に良い栄養バランスとは?

 

「糖質を減らし、それ以外(脂質やタンパク質及び、各種ビタミンとミネラルなど)をバランス良く摂取すること」

 

これだと思います。
 
続く(はず)


※糖質制限におけるルール(重要)


  1. 血液検査で血清クレアチニンが高値で腎障害がある場合
  2. 活動性の膵炎がある場合
  3. 肝硬変の場合
  4. 長鎖脂肪酸代謝異常症がある場合

これらの場合には、糖質制限は適応とならない。また、経口血糖下行薬の内服やインスリン注射を行っている人は、低血糖のリスクがあるので必ず医師に相談すること。
 
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