介入から1年2ヶ月経過したピック病の方をご紹介。
70代女性 ピック病
初診時
(既往歴)
脳梗塞 小脳出血で開頭手術 高血圧で内服中
(現病歴)
これまでデイサービスやショートステイなど利用していたが、唾吐きや暴言暴力、性的放縦さなどで施設側から利用を断られてしまった。ケアマネさんからの紹介で来院。入室時からピック感満載。娘さんと同居。娘さんの表情も・・・?
(診察所見)
HDS-R:28
遅延再生:6
立方体模写:まずまず
時計描画:過剰?
クリクトン尺度:25
保続:なし
取り繕い:なし
病識:なし
迷子:なし
レビースコア:-
rigid:なし
ピックスコア:4.5
頭部CT左右差:あり
介護保険:要介護3
胃切除:なし
歩行障害:あり
頻尿:?
易怒性:ありあり
(診断)
ATD:
DLB:
FTLD:〇
MCI:
その他:
典型的なPickかな。ウインタミン4mg-6mgで開始。若い頃から特異的なキャラクターだったと。
1ヶ月後
大分内服効果が出ているようだ。落ち着いてきた感じはあると。ひとまず10mg/dayでウインタミン継続。
同居の娘さんも当外来を受診。HDS-Rは満点でピックスコアは1.5。話の執拗さや常同性はあるが、会社勤めをして社会生活は送れている。介入なしの経過観察で。
初診から2ヶ月後
本人受診。穏やかに過ごせていると。
初診から4ヶ月後
娘さんの来院。
初診から6ヶ月後
初診から8ヶ月後
初診から10ヶ月後
初診から1年後
初診から1年2ヶ月後
ウインタミンの量は最初に戻り、家族の介護負担度は下がった
コウノメソッドにおいて、ピック病に対する抑制系薬剤のファーストチョイスはウインタミンである。フェルガード100Mを併用できたら、更に抑制効果の上積みが期待できる。
この方の場合、フェルガードは飲んだり飲まなかったり。またウインタミンも10mg→16mg→10mg→16mg→10mgと変遷しつつ初回量に戻っていった。 初診時のクリクトン尺度が以下。
介護者がいる患者さんの場合、③、④、⑤の合計点数に注目している。この合計点数が高いほど、介護負担が大きいと判断している。
介入1年2ヶ月後のクリクトン尺度は以下。
③、④、⑤で10点の改善が得られている。
「以前より大分楽になった」と家族が仰るのは、ここの項目の改善が大きいからだろう。 認知症の治療効果判定に用いられる指標は様々あるが、改訂クリクトン尺度はさほど時間を必要とせず、外来で簡単に行える。介護者目線での治療効果を判定できる有用なツールである。
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