鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

79歳男性、続発性正常圧水頭症の改善例。無症候性の脳室拡大でも、しっかりフォローしておく必要性あり。

正常圧水頭症を学ぶ(AVIMにも注意を払う)


正常圧水頭症について軽くおさらい。下記もご参考に。

 

www.ninchi-shou.com

 

 

  • 認知症症状、歩行障害、失禁が古典的三徴
  • 脳脊髄圧は正常範囲内
  • 頭部画像においては、DESH(Disproportionately Enlarged Subarachnoid-space Hydrocephalus)が特徴的
  • 原因不明のものは「特発性」、くも膜下出血や頭部外傷後に起きるものは「続発性」と呼ぶ

 

ちなみに、画像上DESHを呈していても臨床症状が無い場合には、AVIM(Asymptomatic Ventriculomegaly with features of Idiopathic normal pressure hydrocephalus on MRI)と呼んで区別するよう提唱されている。
 
今回紹介するのは、元々AVIMだったが、頭部外傷後に続発性正常圧水頭症となり、シャント手術で著明改善となった方。
 

 

典型的な正常圧水頭症のCT画像

 

LPシャントでお元気に
 

79歳男性 正常圧水頭症

 

初診時

 
(記録より引用開始)
 
散歩中に転倒して頭部打撲、救急搬入となった。頭部CTで急性硬膜下血腫及び外傷性くも膜下出血を認めた為入院。保存的に治療を行い、約2週間で自宅退院となった。
 
入院時の頭部CTでDESHを呈していたため、念のために奥さんに「歩行障害、失禁、認知症症状」について尋ねたが、いずれも該当なしであった。
 
歩行は、若い頃からがに股で歩隔の広い歩き方だったようだ。
 

受傷より4週間後の外来

 
退院してから、徐々にすり足歩行となり、またトイレが間に合わなくなった。物忘れ症状も出てきたと奥さんが嘆く。
 
頭部外傷を期にAVIM→secondary NPHとなったようだ。頭部CTも以前より脳室は拡大。
 

TAPテスト入院

 
髄液排除試験により、失禁の著明な改善が得られた。LPシャント手術のご希望有り。
 

LPシャント手術入院

 
手術は滞りなく終了し、10日後に退院。
 

術後1ヶ月目の外来評価

 
(タップテスト前評価)
 
3m Up & Go test 11.88s, Berg BalanceTest 42/56点, 起きあがり動作テスト disable, TMT-A 2'16", MMSE 22/30点, FAB 15/18点
 
(LPシャント1ヶ月後評価)
 
3m Up & Go test 13.2s, Berg BalanceTest 51/56点(↑), 起きあがり動作テスト disable, TMT-A 24s(↑), MMSE 25/30点(↑), FAB 14/18点
 
歩行スピードに変化は無かったが、すり足が改善。また失禁は全く無くなった。MMSEにおいても改善を認め、奥さん曰く、「以前の主人に戻りました!」とのこと。
 
定期的なフォローは継続していく。
良かったですね。
 
(引用終了)
 

偶然AVIMを見つけたら、定期的な受診を促した方が良い

 
外来で偶然、頭部画像で脳室拡大やAVIMを呈している方を見かけることがある。
 
その時点では何ともなくても、何かの拍子で特発性もしくは続発性に正常圧水頭症を呈してくるかもしれない。
 
よって、AVIMの方に定期的な受診を促すことには意義があると考えている。
 
 
 
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