勉強しているケアマネージャーさん達と、協力の輪を拡げたい
コウノメソッドを理解し、協力して頂けるケアマネージャーさん達が、ジワジワと増えてきている。
今回は、かかりつけ医が気づく前にケアマネージャーさんが認知症に気づき、紹介して頂いた事例をご紹介。
84歳女性 意味性認知症
(引用開始)
初診時
(現病歴)
ケアマネージャーさんから紹介。
- 物忘れを指摘されている。その自覚もあるようだ。
- 話そのものが通じていないように思える。
- その為、他者からは「思い込みが強い」などと思われているようだ。
上記から、最近認知症かもしれないと気付いたとのこと。
独居。近くに長男さんが住んでおり、様子を見に行っている。
(診察所見)
HDS-R:21
遅延再生:2
立方体模写:OK
時計描画:OK
クリクトン尺度:
保続:あり
取り繕い:なし
病識:あり
迷子:なし
レビースコア:1
rigid:なし
幻視:なし
ピックスコア:6.5
頭部CT左右差:左有意
介護保険:要支援2
胃切除:なし
歩行障害:OA(変形性膝関節症)あり
排尿障害:なし
易怒性:なし
(診断)
ATD:
DLB:
FTLD:〇
MCI:
その他:
振り返り動作が多く、語義失語あり。SD(意味性認知症)だろう。レミニールを4mg、ナウゼリン併用で開始。落ち着いたらかかりつけに。
2週間後
表情が明るくなり、いろいろと気付くようになった。自発性が増したと。
著効かな。
かかりつけに情報提供し、バトンタッチ。良かったですね。
(引用終了)
医者⇔ケアマネージャーのフィードバックが重要
しっかりと勉強し、観察眼を持ったケアマネージャーさん情報は非常に頼りになる。
先日の第一回認知症治療研究会で、あるケアマネージャーさんが
ケアマネージャーは、認知症患者さんのご家族と、医師との間の良い通訳となるべきだ
という主旨の発表をされていた。相当な経験と、勉強によって得た知識に裏付けされた重みのある発言であった。
www.ninchi-shou.com
このようなケアマネージャーさんが育つのを待っているだけでは悠長すぎるので、紹介して下さった方には返書を書き、自分の診断根拠などをお伝えするようにしている。
それを読んで更に知識を付けて頂けたら、次回はまた更により良い情報提供書が頂けると期待して。フィードバックし合える関係は楽しいものである。
この患者さんに関してのやり取りを以下に載せて、今回は終了。
当方からの返書
お世話になります。この度は〇〇様のご紹介、誠にありがとうございました。
長谷川式テストで21/30、遅延再生は2/6と低下。透視立方体模写と時計描画テストは問題ありませんでした。頭部CTでは左有意の萎縮を認め、語義失語が明瞭なことから、前頭側頭葉変性症の意味性認知症と診断し、レミニールを4mgで開始しました。2週間後に再診しましたが、表情が明るくなっており、また息子さんからみて色々なことに気づくようになったとのことでした。当面現在の処方を維持するよう、かかりつけ医にお願いしバトンタッチと致しました。
頂いた情報提供書の記載にあるように、「自分でもおかしいことにどこか気づいている」、「話そのものが通じていない」などは、病識があり、かつ語義失語(相手の言っていることが理解できない、道具の名前などがわからない)の可能性があると考えます。重要なご指摘をありがとうございます。
何かありましたらまたご相談下さい。今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。
ケアマネージャーさんからのお返事