鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

【症例報告】待ってくれている人がいるから。

 

MTさんの奥さんは、突如出現した夫の猛烈な嫉妬妄想と幻視に苛まれていた。

 

自分のクリニック以外の所であれこれとコトが動いていたので、正直あまり深く関わったわけではない。ただし、数回の介入がその都度奥さんを少しずつ救ったという点では、効率的介入だったとは言えるかもしれない。

 

先日の診察を終えた後、当院スタッフがぽつりと

 

「週に何人か、MTさんみたいな人が来てくれるから私たち頑張れますよね」と言っていたのが印象的だった。

 

上手くいくケースばかりではないが、心が折れそうな家族を前に、こちらが心を折っている暇はない。「認知症と戦う必要はない」という、一種の"諦めの強要"に繋がりかねない言葉を吐いている暇もない。

 

医療介護関係者から諦めを強要され、「どうせ治らないですもんね・・・」と心が折れた家族を少なからず見てきた。

 

介護が終わる日はいずれ来るが、家族の人生はその後も続く。家族のその後の人生のことまで考えると、やはり我々は諦めを強要することなく、何某かの工夫を提案し続けなくてはと思う。

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終わりに向かって歩む父。

 

心不全で入院していた父が先日、リハビリのため転院になった。

 

医療上必要な転院というよりも、我々家族が「逃がした」という表現の方が適切かもしれない。

 

入院前は中等度介助で歩行していた父が、3週間の入院で寝たきりになり、食事も摂れなくなってしまった。

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【症例報告】抗パーキンソン薬の漸減中止が完了した方。

 

以前の記事で紹介した方の、抗パーキンソン薬卒業が完了したので御報告。

 

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元々パーキンソン病ではなかったと自分は考えていたので、本物のパーキンソン病の方の減薬の際に経験する「これ以上は減らせないな・・・」という局面に遭遇することなく、スムーズに卒業出来た。

 

ただしこれは、抗パーキンソン薬への曝露期間が短かったからである。もし年単位で内服を続けていたら・・・。

 

ひょっとすると、減薬の途中で有害事象が出現し、ある程度の量で維持せざるを得なくなっていたかもしれない。

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【症例報告】前頭側頭型認知症の方。2年4ヶ月のお付き合いの末、かかりつけ医変更に。

 

今回紹介するのは、前頭側頭型認知症のHYさん。

 

初診時は60代後半。それまでアルツハイマー型認知症の診断でドネペジルが処方されていた。

 

約2年4ヶ月の経過を、ほぼカルテからの引用で紹介する。ご家族や施設スタッフ、ケアマネさん達と情報をやりとりしながら、皆で陽性症状のコントロールに腐心し続けた様子がわかると思う。

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認知症「救急」外来、そして解毒外来という当院の役割。

 

今回紹介するKNさんは、飛び込みで来られた方である。当院は通常、認知症外来は予約で承っている。

 

その日は既に予約がかなり入っていたため、受付スタッフは「出来れば、日を改めて予約を取って頂けたら・・・」と、後日の受診をご案内した。しかし、同伴の親戚の方が「どうしても今日じゃないとダメなんです。」と必死の面持ちで訴えていたので、気圧されるような形で診察した。

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鉄剤の使い方について。

 

当ブログではこれまでに、鉄補充で頭痛やうつ病が改善した例を報告してきた。

 

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今回は、個人的な鉄剤の使い方についてまとめてみる。なお、貧血になる原因は複数あるが、ここでは鉄不足を中心に話を進めていくので悪しからず。

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