病的レベルの鉄不足とタンパク質不足によるものと思われる頭痛めまいでお悩みの方達は、皆さんほぼ女性である。
思考や気分を司るのは神経伝達物質であり、神経伝達物質の材料はタンパク質である。
鉄はエネルギー代謝に深く関与しており、効率よくエネルギー(ATP)を産み出すためには必須のミネラルである。
タンパク質も鉄分も長らく摂ってこなかった人達が、栄養に対して無関心、もしくは頑なになる(お肉は太るから~卵はコレステロールが~)のは、ひょっとしたら神経伝達物質生成に齟齬を来し、柔軟な思考力が妨げられているからなのかもしれない。
しかし、鉄タンパク不足の証拠はないにも関わらず、実生活の様々な事情から糖質制限が難しい方もいる。
頭痛とめまいで来院された、ある30代女性との会話
頭部CTでは、頭痛やめまいの器質的原因となるような所見はなかったが、"妊娠糖尿病で一時期インスリンを使用していた"、"若い頃より20kg体重が増えている"ということを仰ったので、「では採血をしてみましょう」と勧め受けて頂いた。
「鉄とタンパク質は減っているんだろうな」と思っていたが、予想に反してフェリチンは100、BUN/TPは12/7.1と問題なかった。
「甘いものに目がないということはない。でも、炭水化物は大好き。炭水化物は太りやすいことは分かっているけど、好きなんです。」
「帰宅時間の遅い夫に合わせて夕食を食べます。運動は全くしていません。妊娠中にかかった糖尿病専門医に、「3食しっかりと、主食と副食をバランスよく食べるように」と言われたのを、出来るだけ守っています。結婚するまでは朝食は摂らない生活だったのですが、今より痩せていて体調も良かったです。でも結婚して夫や子供との生活になると、やはり3食摂るべきだと思って、今はそうしています。」
結婚と出産で食事を含めた生活スタイルが変わり、そのことで体調不良や体重増加をきたす女性は、実際にはかなりいるのだろう*1。
- 3食ちゃんと食べる
- 主食と副食をバランス良く食べる
それで健康を保てる人もいれば、病気になる人もいる。人間はみな同じ身体ではないので、当たり前である。一日2食の頃は体重も適正、頭痛やめまいも無かったのであれば、その生活の方が身体には無理がなかったはずである。
いわゆる"世の常識"に疑問を持たずに忠実に守ってきた人達が病気になっていくのを見るのは悲しい。同様に、ライフスタイルの変化でやむなく不健康を強いられている人達を見るのもまた、悲しいものである。