鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

体幹傾斜による圧迫に注意。車いすで起きる橈骨神経麻痺(下垂手)について。

 年に数人は見かける、橈骨神経麻痺による下垂手について。

80代女性 パーキンソン病

 

パーキンソン病の80代女性が、数日前から箸やスプーンが持てなくなったとのことで来院された。

 

一見してして「橈骨神経麻痺による下垂手だな」と感じたが、念のために頭部CTを撮影して脳出血や脳梗塞は否定した。

 

下垂手(橈骨神経麻痺)


下垂手については、以下の記事を参考までに。

 

www.ninchi-shou.com

 

椅子、もしくは車いすのアームレストによる圧迫に注意

 

  • 手首を上に持ち上げられない
  • 上腕内側が圧迫されたエピソードがある

 

この2点が確認出来れば、橈骨神経麻痺による下垂手と判断して大体問題はない。

 

回復のスピードは個人差が大きく、1ヶ月ほどで元に戻る人もいれば、完全回復まで半年を要した人もいる。元に戻らなかったという人は、今まで経験したことはない。

 

ビタミンB12製剤(メチコバール・メコバラミンなど)を処方することが多いが、効いているのかどうかは正直なんとも分からない。

 

身体が傾くことを「体幹傾斜」と呼ぶが、体幹傾斜をきたしやすいパーキンソン病、レビー小体型認知症などの疾患を患っている方は、車いすや椅子のアームレストで上腕内側が圧迫されやすいので注意が必要。

 

具体的には、腋窩にクッションなどを挟んであげるのがよいだろう。

 

車いすで橈骨神経麻痺

北海道ホームページより引用改変