鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

セロトニンに関する小考(効率よく幸せになるために何を食べる?)

 人の気分に関わるとされる神経伝達物質、セロトニン。

 

今回は、セロトニンを効率的に増やせるかもしれない、ある一つの食材について述べる。話四分の一ぐらいで読んで頂けたら幸い。

セロトニンとは?

 

  セロトニン(serotonin)、別名5-ヒドロキシトリプタミン(5-hydroxytryptamine、略称5-HT)は、動植物に広く分布する生理活性アミン、インドールアミンの一種。名称はserum(血清)とtone(トーン)に由来し、血管の緊張を調節する物質として発見・名付けられた。ヒトでは主に生体リズム・神経内分泌・睡眠・体温調節などに関与する。(Wikipediaより)

 

セロトニンが脳内で欠乏すると、うつ病を発症すると言われている。しかし、脳内でどれほど欠乏しているのか、またうつ病の治療で使われる抗うつ薬(SSRI)で、脳内のセロトニン濃度がどれぐらい上昇するのかに関しては決定的なデータが無く、うつ病に関するセロトニンの関与は今のところあくまでも「仮説レベル」である。

 

セロトニンを増やすことが抑うつ気分を改善させると言われているが、薬を飲む(仮説レベルの方法ではあるが)以外にセロトニンを増やす手段としては、

 

  • 日光浴(メラトニンをoffにする?)
  • 繰り返し運動(北陸大学 紀要第26号 (2002)pp. 39~48)
  • 食事

 

このような方法が考えられる。ここでは、食事の工夫について考えてみる。

 

セロトニンを増やすための食事の工夫

 

神経伝達物質であるセロトニンは、タンパク質を材料として作られる。なので、まずはタンパク質を摂取しなければ始まらない。

 

セロトニン代謝経路

(「慢性病を根本から治す」より引用) 

 

摂取したタンパク質の中で、実質的にセロトニンの材料となるのが必須アミノ酸の「トリプトファン」である。上記図のように幾つかの経路を経て、セロトニンは合成される。

 

ついでなので、メラトニンについて簡単にふれておくと、メラトニンは睡眠に関わる神経伝達物質(ホルモン)である。材料はセロトニン。

 

うつ病の主要症状の一つに不眠があるが、

 

【うつ病≒セロトニン不足≒メラトニン不足≒睡眠不足】

 

このように考えたら分かりやすい。なお、セロトニン→メラトニンへの変換にマグネシウムが関与する。なので、不眠にマグネシウムサプリメントが効くことがある。

 

話をセロトニンに戻す。

 

上記の様な経路でセロトニンが生成される過程で、複数のビタミンとミネラルが必要になる。特に、

 

  • ビタミンB群

 

この2つ(2群)は個人的に重要と感じている。

 

トリプトファンを摂取するのに動物性タンパク質がいいのか植物性タンパク質がいいのかについては議論があるようだが、トリプトファンと鉄とビタミンB群を効率よく一気に摂取する」ことを重視するなら、動物性タンパク質に軍配が上がると思う。特に豚レバーは、100gあたり

 

  • (トリプトファン)290mg
  • (鉄)13mg
  • (ビタミンB3)17mg
  • (ビタミンB6)0.57mg

 

これぐらい効率的に摂取できる。*1

 

B6はもう少し欲しいところだが、ニンニクを併用すれば補えそう。豚レバー(ニンニク醤油だれ)100gで鉄とB3、B6の一日推奨摂取量は賄えそうである。

 

ひとまず今回の結論。

 

幸せになりたかったら、とりあえず豚レバーを喰おう!!(ニンニク醤油をかけて☆)

 

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*1:栄養素の推奨摂取量諸々の出典は、主にコチラを参考にしました。