Gigazineから。
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可処分所得が少ないと、食費にしわ寄せがいく。限られた食費の中で、満腹感と効率よいカロリー摂取、時短が重視されると、糖質摂取量が最大化される。
糖質摂取量が最大化されると肥満に繋がりやすく、古くから貧困と肥満の相関関係は指摘されてきた。
Poverty and obesity: the role of energy density and energy costs
以下、冒頭のGigazine記事より引用。
グラフは左上から「Language Skills(言語能力)」「Perception of Spatial Relationships(空間的関係の認識)」「Memory of Facts and Events(真実と出来事の記憶)」「Cognitive Control(認知制御)」「Short-Term Memory(短期記憶)」を示しており、程度の違いこそあるものの、すべての認知能力で「貧しいほど認知能力が低い」という正の相関があることがわかります。
~中略
「貧困環境で育った子どもは脳の皮質の一部面積が減少している」ということを示したのが以下の図。「皮質面積の減少」が見られる領域は帯状回・楔前部・下前頭回・上前頭回・下側頭回で、図では赤色に塗られています。
~中略
最も低所得な貧困環境で育った子どもたちは、脳の発達において重度の損失を被っている、というわけです。
「皮質面積の減少」は恐らくMRIによる測定であろう。
(コチラより引用)
「帯状回・楔前部・下前頭回・上前頭回・下側頭回」の萎縮が起きているという記載から考えるのは、デフォルトモード・ネットワークとの関連である。
睡眠ではない安静時に活動する脳の領域、デフォルトモード・ネットワーク(以下DMN)。
デフォルト‐モード‐ネットワーク(default mode network)
なんらかの思考や関心や注意を伴わない、ぼんやりと安静状態にある脳が示す神経活動。脳の血流量の変化を可視化するfMRIを用いると、何もしない安静時にのみ、活動が活発になる脳の領域が複数存在し、互いに同期することが明らかになった。この活動はデフォルトモードネットワークとよばれ、自己認識、見当識、および記憶に関わる基本的な役割があると考えられている。DMN。(コトバンクより引用)
安静時でも、活動するにはエネルギーが必要である。使用されるエネルギーは通常、ブドウ糖である。
以下、妄想的小考。
(妄想開始)
貧困家庭に産まれた子供は、幼少児より糖質摂取量が多い。3度の食事以外の時間にも、テレビなどを見ながら、特に何かを考えることもなく、何となく清涼飲料水を飲みながらお菓子を食べている。
その時脳内では、DMNが亢進している。
安静モードで糖質が大量に供給されることに脳が慣れてしまえば、そのうちエネルギー消費の優先順位が「デフォルトモード>アクティブモード(思考モード)」となる。
すると、思考の効率が低下する。
また、常にDMNが亢進し、かつ供給されるエネルギーがブドウ糖中心だと、帯状回や楔前部、内側前頭前野で盛んに活性酸素が産生され、神経細胞が障害される。
通常このような場合に備えて、活性酸素を打ち消すためのスカベンジャー(ビタミンCやビタミンE、SOD、グルタチオンなど)が準備されているのだが、糖質過剰摂取の生活とは畢竟、過酸化脂質や低ビタミン、低ミネラルのインスタント食品が多い生活でもあるため、スカベンジャーはいくらあっても足りない。
こうして、DMNが亢進しすぎた結果、当該部位の脳が萎縮し認知能力の低下が始まる。
(妄想終了)
DMNは、自己認識や記憶、見当識との関連を指摘されている。
ということは、これは何も貧困家庭の子供のみならず、認知症患者の脳内においても、同様のことが起きているのではないか?と考えたくなる。
何しろ、アルツハイマー病で脳血流低下が起きる場所は、DMNと見事に一致しているのである。
DMN の研究により,アルツハイマー病では早期から機能低下がおきていることが解明されつつある.記憶障害については以前から海馬の研究により理解されているが,見当識障害についてはそのメカニズムが明らかにされて来なかった.DMN は自己への内省を行う機能をもっているため,見当識障害に関係があるのではないかと考えられた.実際,fMRI による画像所見では DMN の領域と同じ領域に血流低下が早期からみられることから,自己に関する見当識が失われることとアルツハイマーが関係しているとされる.これは,脳の萎縮に関係なく画像所見による DMN 領域の血流低下が早期発見に有用だと考えられている (IS Report No. 2014062501)・・・赤文字強調は筆者による