認知症サプリメントのフェルガードやMガードを発売しているグロービアが、2019年4月に発売した「カーミン」というサプリメントを紹介する。
カーミンとは?
カーミンは、「フェルラ散」と「αーGPC」という有効成分を配合したサプリメントである。
以下、グロービアHPから引用する。
カーミン®はフェルラ酸とα‐GPC(グリセロホスホコリン)を主要成分とする栄養補助食品で「お子さまの広範な悩み」をサポートします。飲みやすいレモン風味(形状:粒)、なめたりかんだりして水無しでも飲むことができます。
フェルラ酸については以下。
米ぬか、小麦、コーヒー、ピーナッツなど食品に広く存在するポリフェノールの一種です。カーミン®で使用しているフェルラ酸は米ぬかから抽出された植物由来のもので極めて安全性の高い成分です。
αーGPCについては以下。
大豆レシチン(大豆に含まれるリン脂質)を加水分解して得られる「グリセロホスホコリン」という成分です。
ビタミン様栄養素「コリン」の補給を目的に主に用いられていて、母乳をはじめとして体内にも普遍的に存在する安全な成分です。
既にグロービア製品を使用している方に分かりやすく伝えるならば、「Mガード+フェルガードF」となる。
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患者さんにカーミンを勧める際に、期待するのは以下の2点。
- 抗酸化作用の強いフェルラ酸で、多動が落ち着いてくれたらいいな。
- 神経伝達の要である軸索をαーGPCで補強することで、情報が上手く伝わって集中力が高まるといいな。
これから紹介する4名は、いずれもカーミンが効いていると思われる方達である。
11歳男児
この男の子のことは、以前ブログで紹介したことがある。
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発達の凸凹については、これまで診察していて気にはならかったのだが、お母さんは色々と思うところがあったようだ。ちなみに、ストラテラやコンサータは飲んでいない。
以下、お母さんからのお手紙から引用する。服用開始数日後から、「あれっ?」と感じるようになったようだ。
- 片付けられない
- 机の上がぐちゃぐちゃ
- 「勉強が分からない」と言う
このような状況だったが、カーミンを朝夕2錠ずつ飲むようになってから、
- 毎回ではないものの、自分から片付ける頻度が増えた
- 机の上や身の回りをキレイに保とうとするようになった
- 「最近勉強が分かるようになってきたんだけど、なんでかな?」と自分から言ってきた!!
これは恐らく、効いている。
9歳女児
この子には、小児発達外来でADHDの診断がついている。
6歳の時に受けたWISCーⅣで【IQ75・言語理解88・知覚推理74・ワーキングメモリ65・処理速度88】という結果だった。
3年ほどお付き合いしているが、初診時の採血で鉄タンパク欠乏を認めたため、高タンパク食を勧めインクレミンシロップを内服して貰ったところ、
- フェリチン34.8→63.3、
- BUN7.7→16.8
と改善してきている。
感覚過敏があり、パーティションで区切られた狭いスペースが凄く落ち着くのだと。診察時に受ける印象は、「のんびりした大人しそうな子」で、自閉や多動のイメージはなかった。
現在ストラテラを朝と就寝前で5mgずつ内服しているが睡眠に影響はない。ストラテラの内服で、
- 効率よく宿題に取り組めるようになった
- 言葉の数が増えた
- 学校で穏やかに過ごせるようになった
このような変化が確認できているが、クラス替えなどの比較的大きな環境変化があると多動が目立ち自閉的になるようだ。
以下、お母さんのお手紙から引用。
- 足の踏み場もないほど散らかし、片付けられない。ヒドイ!!
- 宿題をしない
- 言われてから行動に移すまでに時間がかかる
このような状況が、カーミンを朝夕2錠ずつ飲むようになってから
- 話を沢山してくれるようになった(言葉数が増えた)
- 自分から進んでお手伝いをしてくれるようになった
ストラテラを止められるほどではないようだが、効いている印象はある。
9歳女児
この子は「大人しそうな子だな」という印象しかなかったのだが、お母さんからご希望があったので、4錠/dayでカーミンを試してみた。
以下、お母さんの手紙から引用。
- 片付けが出来ない
- 先が読めない
- 人の話を聞かない
- 宿題をしない
このような状況が、カーミン服用を始めてから
- 身の回りの片付けを自分から進んでするようになった
- 次に何をすれば良いか、考えて行動できるようになった
- 話を上の空ではなく「心」で聞いている気がする
- 宿題を頑張るようになった
この子も効いていると思われる。
50代女性
この女性も以前、ブログで紹介したことがある。
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以下は、本人から聴き取ったカーミンの感想である。
最初はカーミンを朝4錠服用していましたが、そのうち軟便になったので朝夕2錠ずつに減らしたところ、軟便は解消しました。
夕食後に飲むと、頭が冴えるのか睡眠に影響したことがありましたが、毎回ではありません。
平日はストラテラ35mg、土日はカーミンと飲み分けをしていますが、これまで感じていた土日の「ストラテラが切れた」という感覚が薄らいでいます。
そこで、ストラテラ35mgを実験的に10mgに減量してみたのですが、特に仕事で集中力低下をきたすことはありませんでした。
4錠/dayのカーミンでストラテラ減量に成功している。
今後は、月~金を朝夕2錠ずつ、土日を朝夕1錠ずつにしてストラテラ卒業を狙おうかなと考えている。
まとめ
カーミンを飲んだ小学生3人に共通して言えるのは、「片付け(お手伝い)をするようになった」ということである。
ストラテラやコンサータの内服後に「家の中が散らかっていることに気づくようになった」というようなことは、患者さんやご家族からしばしば聞く。
ストラテラやコンサータは、脳内でドパミンやノルアドレナリンを増やすことで集中力を高める。
あくまでも自分の想像ではあるが、カーミンは
『過活動により効率性が落ちている脳の部位をフェルラ散で局所的に鎮め、αーGPCでシナプスを拡張させる(≒発達させる)ことで、集中力を高めている』
のかもしれない。
発達障害の方が当院外来に来られたとき、まずは採血で栄養状態を確認し、必要に応じて栄養療法を行い、ソーシャルスキルを身につける工夫を提案し、漢方薬を提案し、ご希望があればストラテラやコンサータを処方している。
今後、ここにカーミンが加わることは間違いない。
最後に安全性について。
自分は、メーカー推奨量の3倍となる12錠/dayを1ヶ月ほど試しに飲んでみた。
その結果・・・・・
良い変化や悪い変化、いずれも自分には起きなかった。少しでも頭が冴えてくれたらと期待していたのだが・・・(^^;)
この量を推奨するということではないが、少なくとも安全性は高いということは言えるだろう。*1