前頭葉や側頭葉が萎縮する認知症
年齢と共に、誰でも脳は萎縮して衰えはくる。
しかし、病的に萎縮すると困ることがより増えてくる。それがいわゆる「加齢による衰え」と「変性性認知症」の違いである。
前頭側頭葉変性症とは、その名の如く前頭葉と側頭葉が病的に変性、萎縮する認知症のことである。
前頭葉が萎縮すると、放尿や尿便失禁、脱抑制(状況に応じて感情や衝動を抑えることが出来なくなる)が目立ってくる。
また、側頭葉が萎縮すると言葉の理解が悪くなる。
大体こういうイメージの認知症と理解して頂けたらと思う。
前頭側頭葉変性症は幾つかの下位分類に分けられるが、ここではピック病と意味性認知症について説明する。
ピック病(前頭側頭型認知症)
- 盗癖(万引きを含め、他人のものに手を出してしまうこと)は有名な症状
- 反社会的行動が目立つ。
- 二度童(子供のように異様にはしゃぐ)
- 食行動の異常(甘い物ばかり食べたり、ある特定のものばかり食べ続けたり。ムラがある)
- スイッチが入ったように怒り出す。突発的な行動をとる
- 身だしなみに無頓着になる
- 理由の無い不機嫌さ
- 放尿
人格が変わってしまったように見受けられる場合には、ピック病を疑ってみる。
意味性認知症
他者が困惑してしまうような陽性症状はさほど目立たないが、相手の言う言葉の意味や、道具の名前などが分からなくなる「語義失語」という症状が特徴的な認知症が、意味性認知症である。
「最近うちの親は耳が遠くなってきたのか、聞き返してくることが増えたなぁ」
と感じたら、意味性認知症を少し疑ってみる。
これらを疑った時に有用なのがピックスコア。ピックスコアという名称だが、ピック病と意味性認知症の両方を拾い上げることが出来る。
頭部CTの項目以外は、周囲の人やご家族が気づけるポイントが多数含まれている。
ちなみに、ピック病と意味性認知症には連続性がある。特に、病初期には意味性認知症であった方が、経過と共にピック病の症状を呈してくることがあるので注意が必要。そのような場合には素早く処方の見直しが必要となる。
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