高齢者の「首から上の」慢性的なお悩みに、釣藤散が著効することをしばしば経験する。
慢性的なお悩みとは、頭痛であったり頭重感であったり、めまいや耳鳴りであったりと様々である。また、使っている間に血圧が下がってくることもしばしば経験するので、内服中の降圧薬減量に繋がることもある。
60代男性 頭部打撲後の遷延する頭痛
初診時
昨年から剪定の仕事をしている。
9ヶ月前から、夕方にかけて増悪する頭痛がある。
5ヶ月前に頭部を打撲し、その後から頭痛が増悪。少量の慢性硬膜下血腫を指摘され、〇〇脳神経外科で保存的に経過観察を行い、血腫は完全に吸収されたとのことで先日終診となった。
しかし、今も頭痛が残っているのは何故?とのことで当院来院。
〇〇脳神経外科から画像取り寄せを。また、先日内科で受けた採血結果を次回は持参で。
緊張型頭痛の印象だが、自覚的肩こりはなく、他覚的にも頸肩腕部過緊張は認めない。
ノイロトロピンと後頚部温カイロで対策開始。
2週間後
ノイロトロピンで改善なく、中止。
夕方にかけての頭痛、3日前は嘔気を伴ったと。
ナロンエースを飲んだが効かなかった。こめかみを冷やすとてきめんに症状改善すると。
血管を収縮させたほうがよいのか?今回は釣藤散を試す。それでだめなら呉茱萸湯やミグシス検討かな?
4週間後
「これが普通の感覚なんですねぇ~、先生」
頭痛がほぼ消失。釣藤散著効。
2ヶ月処方、いずれゆっくり止めましょう。良かったですね。
8週間後
頭痛はゼロ。時に昼分を飲み忘れるが大丈夫。
今回から朝夕処方に。
8週間後
釣藤散を減薬し、この半月は飲まずに過ごしてみたが頭痛の再燃はなかったようだ。
卒業ですね。おめでとうございます。
何かあったらまたどうぞ。
(引用終了)
(ツムラHPより引用)