鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

認知症保険の話題から考えたこと。

認知症に「保険」で備える時代

 
認知症に保険で備える。
 
以前、認知症に対する保険の話題について書いた。
 
 
先日、以下のような記事を見つけたのでご紹介。
 

あいおいニッセイ同和損保が新サービス「認知症TESTER」提供、「親介護一時金補償特約」新設も 保険のニュース 保険市場タイムズ

 

MS&ADインシュアランス グループのあいおいニッセイ同和損害保険株式会社(社長:鈴木 久仁、本社:東京都渋谷区恵比寿1丁目 28 番1号)は2014 年 10 月より、企業・団体向け商品である団体総合生活補償保険に、新サービス「認知症 TESTER(テスター)」の提供を開始するとともに、「親介護一時金補償特約」を新設します。
1.新サービス提供と特約新設の背景とねらい
要介護(要支援)認定者数の増加とともに、「親の介護に対する社会的関心」が高まっており、また、企業においても親の介護等を理由とした従業員の「仕事と介護の両立」が課題となっています。
とくに、介護の中でも負担の大きい認知症を発症する高齢者の増加も問題となっています。このような状況を踏まえ、当社では認知症にフォーカスしたサービスを新たに提供することとし、従業員の介護負担軽減のためのサポートを行います。
また、「仕事と介護の両立」を行うには公的介護保険ではカバーできない自己負担が必要なケースがあります。たとえば全額自己負担となる公的介護保険対象外のサービス利用、施設によっては入所一時金が数十万円から数百万円になる場合等、まとまった費用が必要なケースもあることから、経済的負担が軽減される介護補償の強化を図り「仕事と介護の両立」を支援することとしました。


詳しくはこちらをご参考に。

介護における様々な負担とは

 
介護の為に離職せざるを得ない人達が増えているという。その年代は50代前後で、通常職場では責任のある立場にいることが予想される。
 
また、介護と仕事を両立せざるを得ない方の昇進が、見送られるケースもあるという。
 
介護は、精神的肉体的な負担以外に、経済的負担もかなりのものである。薬剤にかかる費用、介護保険サービスで支払う費用、その他介護保険以外のサービスに支払う費用や、施設入所に当たって必要な費用など、出費は多岐にわたる。
 
その経済的負担を担う家族(患者さんの貯蓄だけでは負担出来ないことも多い)が、介護の為に離職乃至は仕事が制限されてしまうことで、結果的に経済的負担を負えなくなってしまう。
 
また、当たり前だが親の介護だけしているわけにはいかず、同時に自分の家庭も守る必要があるので、仕事の問題はやはり切実なのである。
 

制度を見直す時期にきている

 
介護保険制度が発足した2000年当時は、医療費削減のための制度導入という目的以外に、専業主婦が介護を担当出来るであろう、という目論見もあったようだ。
 
しかし2014年現在、またこれからの時代は、共働き世帯が当たり前である。よって、それを前提とした制度に切り替えていく必要がある。
 
例えば9時-16時のデイサービスなどはそもそも、「仕事をしている家族」の都合を前提に提供されているわけではない。
 
「パーソンセンタードケア」の重要性は理解しているが、「介護する家族のニーズ」に併せたサービス提供も、もっと考慮されてしかるべきと考える。
 
その他、前記のような認知症を含む団体保険に加入する会社への優遇制度なども、国として積極的に取り組んでいくべきだろう。
 
そして、こういう時代に認知症に関わる医者に求められるのは、
 
「介護者の負担を軽減する処方の工夫」
 
であり、それはまさにコウノメソッドなのだろうと思うのである。