進行性核上性麻痺の方を引き継ぐ
5〜6年ほど前から歩行の異常を自覚していた。平成25年10月に、近医で進行性核上性麻痺(PSP)の診断。進行性に悪化する病気だが、治療方法はないと言われた。
その後、ケアマネさんの勧めで名古屋フォレストクリニックを受診。
河野先生の診察後に、当方にバトンタッチとなった方をご紹介。
77歳男性 進行性核上性麻痺
初診時
(記録より引用開始)
(既往歴)
腰部脊柱管狭窄症 高脂血症薬で悪性症候群? 鎮痛剤で幻覚?
(現病歴)
5〜6年前から、「自分の足ではない」、などの歩行に関する訴えは始まっていた。
徐々に症状は進行し、併せて物忘れ症状も出現。名古屋フォレストクリニックを受診し、PSPの診断で、同日にグルタチオン1800mg投与。直後から歩行が著明に改善。鹿児島での治療継続のため当院に紹介。
(診察所見)
HDS-R:25
遅延再生:4
立方体模写:OK
時計描画:OK
クリクトン尺度:25
保続:なし
取り繕い:なし
病識:あり
迷子:なし
レビースコア:10
rigid:右上肢であり 企図振戦あり
ピックスコア:4
頭部CT左右差:明らかな左右差はなし
(診断)
ATD:
DLB:
FTLD:
MCI:
その他:PSP
著明な垂直方向の眼球運動障害。CTではHumming Bird陽性。PSPと考える。笑い方はやや強迫的で子供っぽい。
グルタチオン1800mgを継続で。ひとまず週に一回。
中核薬はリバスタッチ4.5mg。メネシットは50mgx2で。x3で幻覚出現あり。フェルガード100Mx3も始めている。
流涎が多くて困っていると。診察中もしきりにぬぐっていた。以前患った右顔面神経麻痺による口角下垂の影響もあるだろう。
(引用終了)
薬剤過敏に要注意
メネシットが50mgx2から50mgx3に増えると幻覚が出る、とのこと。また鎮痛剤での幻覚出現の既往もあるようで、薬剤選択に関しては相当慎重にみていかなければならない。
グルタチオンがひとまず歩行に好影響を及ぼしていることは心強い。現在はビタミンCも2000mg混注して点滴投与している。
1ヶ月ぶりに再会した息子さん曰く
自発的に電話をかけてきてくれるようになった
と、歩行以外にも好影響は出てきているようだ。
グルタチオンやビタミンCを長く使っている間に、その抗酸化作用が薬剤過敏も和らげてくれないだろうか?そうなると処方の幅も少し拡がってくれるのだが。そんなことを期待している。
今回はこれで終了。