鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

2016-01-01から1年間の記事一覧

認知症高齢者の運転免許問題について思うこと、そして提案したい2つの基準について。

予期せずして運転免許証を取り上げられた高齢者は、混乱し憤り我を失う。家族も心を傷め、右往左往する。 「そうなる前に準備しておかなかったのが悪い。自己責任だ」という意見を耳にしたことがあるが、「高齢化社会では明日は我が身」という考えを持つ人ならそ…

正常圧水頭症の治療で、体幹バランスが改善。

とある病院にご入院中だった方。 これまで統合失調症+正常圧水頭症というケースの治療例はあったが、双極性障害合併例は初めてだったのでご報告。

認知症患者さんの家族が、発達障害を持っていた場合。

認知症患者さんを診ているうちに、ご家族も診るようになったことが度々ある。自分で診ることが出来る場合もあれば、「これは難しい・・」と感じる場合もある。

87歳女性、アルツハイマー型認知症と前頭側頭葉変性症の両天秤で経過観察中。

脳萎縮の左右差が目立ってきた時に考えるのは前頭側頭葉変性症(FTLD)だが、臨床症状としてはむしろアルツハイマー型認知症(ATD)の症状が目立ってきた、という方である。幸い、目立った周辺症状なく経過出来ている。

確証バイアスを持つ家族と、自分の価値観を押しつけようとする医者。

最初にその患者さんに同伴したのは、施設スタッフと訪問看護師であった。次の診察では娘さんだけで、スタッフ同伴はなかった。

小脳出血後の失調性歩行障害に対して、グルタチオン点滴療法を行い改善があった例。

小脳出血や小脳梗塞によって傷んだ脳組織は元には戻らない。しかし、出血や梗塞領域の周囲の脳組織は生きている。 この生き残った脳組織は、脳卒中急性期に激しい酸化作用に曝されている。その影響が、慢性期になっても残っているのではないだろうか?そしてそれが…

「砂糖業界が科学者を買収していた」というニュース。

さもありなん、さもありなん。

「認知が進んだ」とか「認知が入っている」などという表現を、医療介護現場から払拭したい。

「毎度ありがとうございます→まいどあり」 「焼酎ハイボール→酎ハイ」 「就職活動→就活」 言葉を略する力が高い(好きな?)日本人。造語能力が高いとも言えようか。

中性脂肪が高値だった妊娠末期の採血結果から考えたこと。

前回の妊婦さん記事がご好評を頂いた。 www.ninchi-shou.com 今回は前記事の補足として、この妊婦さんの採血結果から私見たっぷりに考えたことを書いてみる。

妊娠うつになった友人が復活し、無事に出産を終えるまで。

以前、「若者がストレスに負けないためには肉を喰って鉄を摂った方がいいよ」という記事を書いたのだが、嬉しいことに多くの方の目に留まった。 www.ninchi-shou.com 友人の女医さん(以下Uさん)もその一人だったようで、ブログのFBページにコメントがあった。 (FB…

「正常か?」と聞かれたらそうではないかもしれないが、「だからどうした?」という話。

認知症外来には、こういう方も大勢来ますよというお話。

多系統萎縮症(MSA-C)に対してグルタチオンが効果を示した例。

ある日の外来に飛び込み受診された方。 他院入院中に認知症と診断され薬が始まったが、このままでいいのか心配になって退院同日に娘さん夫婦が連れてきた。

小脳萎縮について気になっていること。

当院は脳神経外科なので、頭のCTを撮る機会が多い。 CTで小脳が萎縮している人が結構多いことが、最近は気になっている。

エビデンスの向こう側。

自分がどのような診療をしたいのかということを掘り下げるために、いつもの如くアリセプトを題材にして考えてみる。 アルツハイマー型認知症と診断した患者さんに、アリセプトを3mg処方する。 次回診察時に確認すると、活気や自発性の向上が得られたとのこと。よか…

ヒト神経幹細胞療法への期待。

www.carenet.com 刺激的なニュース。

手渡されたバトン。

先日、ある先生が亡くなられたことを人づてに知った。 ご高齢ではあったが、現役で診療を続けておられた。標榜されていた科から想像する限りは専門外であったと思うのだが、認知症診療にも積極的に取り組まれていたようだ。 当院がオープンして間もない頃、「元気で…

お盆やお正月で田舎に帰省した際に確認しておいた方がよいこと。

日本の夏と冬の風物詩、お盆とお正月の帰省。 flickr photo shared by Hikosaemon under a Creative Commons ( BY ) license 年に1~2回しか帰省できない方が、少ない機会を利用して親が元気に過ごしているかを確認するために有用な観察ポイントを幾つか紹介し…

人工知能(AI)が病気を診断し、治療のアドバイスを行う時代に医者が出来ること。

凄い時代になってきましたね。 buzzap.jp

初診時から食の細さが懸念材料であった方。最後はガンでお亡くなりに。

今回は3年ほど前に経験した例をご報告。 初診時に胸部レントゲンまで撮っていたら、その後少しは結果が違っていたのだろうか?

20年来の開眼失行(開瞼失行)をグルタチオンで治療。

開眼失行(開瞼失行)という病気(病態)がある。開瞼失行の読み方は「かいけんしっこう」である。 今回は、20年来の開眼失行がグルタチオン点滴で著明改善した例を報告する。

クリニックの診察室にポケモンが現れたようです。

巷で大流行中のPokemon GO。 ポケモン世代ではないからかどうかは分からないが、自分は興味がない。*1 大の大人が群れを成してスマートフォンをのぞき込みながらウロウロする様は、自分の眼には異様に映る。一体あの心境とはどのようなものなのだろうか?単にゲー…

頭部外傷後の認知機能低下にはフェルラ酸が有効かもしれない。

興味深い論文を読んだので、思いついたことを書き留めておく。

(症例報告)70代女性、レビー小体型認知症と正常圧水頭症合併ケースの治療例。

どの時点で介入出来るかで予後は大きく変わりうる。 今回の方は、「間一髪セーフ」といったところか。

抗認知症薬による薬害の背景に、「子が親に対して持つ後ろめたさ」があるとしたら。

「薬はいらないだろうなぁ・・・」 患者さんを診察してそう感じれば、自分はご家族にそのままを話す。納得するご家族もいれば、抗認知症薬処方を強く希望するご家族もいる。 今回は薬を欲するご家族の心理と、その結果起きているかもしれない「薬害」の可能性について…

【書評】「認知症介護で倒れないないための55の心得」を読んで。

メディアを通じて表に出てくる介護の話は、悲惨なものが多い。 【衝撃事件の核心】血ヘドはく「老老介護」破綻 鬼の形相で「殺せ!」と叫ぶ認知症母を殺害 長男は「ごめんな、ごめんな」と謝り続けた(1/5ページ) - 産経WEST センセーショナルな内容であれば…

医療保護入院からの復活例を通じて学んだこと。

家庭天秤法の威力、献身的介護と客観的視点の両立の重要性、キャラクター分類の重要性。 この患者さんとご家族からは、様々な事を学んだ。 flickr photo shared by hans s under a Creative Commons ( BY-ND ) license

64歳男性、前頭側頭葉変性症の方の治療経過報告。

認知症患者さんの経過中には様々な事が起きる。どの一人をとっても、全く同じ経過を辿ることはない。何か起き始めている気配がないか?減らせる薬はないだろうか? 目配りをし続ける。

患者さんの写真を残すことの意義。

いつかはこのような日が来ると思っていた。

【妄想的小考】医療介護政策に失敗した日本。

年をとれば足腰は弱り体力は低下し、判断力は鈍くなる。更に追い打ちをかけるように、ガンや脳卒中、認知症が加わってくる。自らの老いを認め、達観して老後を過ごせる人は一部であり、日本の高齢者を待つ未来は総じて明るいとは言えない。

多系統萎縮症(MSA-P)かな?グルタチオン点滴直後に改善を認めた症例。

病歴や治療経過、症状の経過、画像所見。あちこちに散在するヒントをかき集めて考える。