鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

どちらも長谷川式テスト22点だが、対象的な87歳。

 

 

支える人が周囲にいるのかどうか。いるならば、その人達に何をお願いすべきか。いなければ、どのように支援体制を構築していけばよいのか。薬は必要なのか。必要でないならば、どのようにして病院とのつながりを保てばよいのか。薬が必要なら、その量や内服回数はどのように設定すべきか。

 

無理のない介入形態を、考え続ける日々。

 

80代後半女性 年齢相応の衰えかな

 

 

(現病歴)

独居だが、近所に長男さん夫婦が住んでおり、行き来は頻繁にある。

 

現在利用中のデイサービス管理者より、メールにて受診の問い合わせあり。以下は、メール内容からの抜粋。

 

『病院が診察をしっかりしてくれない事や、残薬があるにも関わらず大量処方される事、また理解できない認知薬の処方などに不満があり、病院不信に陥っている。

 

近所の医療機関へ変更するも前医の指示で薬剤大量投与が継続。その頃から被害妄想やイライラが多発。〇〇病院の認知症外来の予約を試みるが、希望時間と合わない為断念。本人と同じデイサービスを利用している方から当院の話を聞き、「行ってみたい」と。


毎日デイサービスは楽しく利用出来ている。

 

ご本人、ご家族ともに安心して受診・相談できる、かかりつけ医と認知症の詳しい検査をご希望している。』

 

(診察所見)
HDS-R:22.5
遅延再生:3
立方体模写:可
時計描画:拙劣
IADL:5
改訂クリクトン尺度:24
Zarit:13
GDS:2
保続:なし
取り繕い:あり
病識:なし
迷子:なし
レビースコア:ー
rigid:なし
幻視:なし
ピックスコア:ー
FTLDセット:ー
頭部CT所見:海馬虚血痕
介護保険:要介護1
胃切除:なし 開腹手術歴あり?
歩行障害:なし
排尿障害:なし
易怒性:なし 土地絡みの妄想的言動あり
傾眠:なし

(診断)
ATD:△
DLB:
FTLD:
その他:

(考察)

話がどんどん脱線していく、元気なお婆ちゃん。

 

CTで脳萎縮はかなり目立つ。海馬萎縮もあるが、虚血痕が散見され、その影響もあるかな。海馬スライスでの内頚動脈硬化性変化は目立たないが。


多く出された処方の中から、ご自分でタフマックEとマグミットを必要なときに内服し、それを帳面につけている。

 

「脳梗塞予防のプレタールを25mg、あとはタフマックE1カプセル、マグミット250mgを、朝だけの定期内服にしてみませんか?分かりやすくていいと思いますけど」

 

と説明したところ、喜んで応じてくれた*1。今後は月に一回の定期通院で。次回は採血結果説明。

 

CT 脳萎縮

 

(引用終了)

 

80代後半女性 嗜銀顆粒性認知症疑い

 

(現病歴)

 

独居で、既往歴など不明。

 

つい数日前に引っ越しをした。しかし、入居時の説明を理解していないと感じた大家さんがガスを使えなくしてしまったため、調理が出来ずに困っている。

 

大家さんから「認知症ではないか?」と相談を受けた地域包括支援センターが介入し、連れてきた。身よりはほぼなし。

 

同伴の包括スタッフも、「昨日お会いしたばかりで情報が分からず・・・」と困惑している。

 

(診察所見)
HDS-R:22
遅延再生:2
立方体模写:可
時計描画:可
IADL:5
改訂クリクトン尺度:16
Zarit:8
GDS:4
保続:あり
取り繕い:あり
病識:あり
迷子:不明
レビースコア:ー
rigid:なし
幻視:なし
ピックスコア:ー
FTLDセット:ー
頭部CT所見:左側萎縮
介護保険:未申請
胃切除:なし
歩行障害:なし
排尿障害:なし
易怒性:なし
傾眠:なし

(診断)
ATD:△
DLB:
FTLD:
その他:AGD

(考察)

 

「私は母親から『抗生物質で耳が聞こえなくなるから気をつけなさいよ』と言われているのよー」

 

という話を、延々としている。

 

日時見当識は良好。遅延再生のみの低下。左側有意萎縮からはAGDの可能性は考える?常同性はかなり強い印象。

 

施設入所が必要になるかもしれないケース。内服コンプライアンスを保てるかは相当怪しいが、関係性維持目的の通院を担保するための必要最小限処方は有用と判断。主幹動脈の硬化性変化はかなり強いので、プレタール25mgを選択し勧めた。

 

内頚動脈硬化性変化

 

(引用終了) 

 

*1:横でこちらの説明のアシストをしてくれるケアマネさんは、とても有り難い。