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鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

レスベラトロールは、既に発症したアルツハイマー型認知症の治療に役立つか?

雑記 雑記-書評・論文評価・考察

 

レスベラトロール(赤ワイン)で認知症予防?

 

 赤ワインで認知症予防!

 

よく見かけるフレーズである。

 

正確には、赤ワインに含まれるポリフェノールの一種である、レスベラトロールという抗酸化物質による予防効果が期待されている、ということである。予防に役立つなら、治療にも役立つのでは?そんな発想(多分)からの臨床試験が行われていたようだ。

 

 

レスベラトロールを凝縮した薬剤を用いた臨床試験

 

CNNからのニュース。

 

www.cnn.co.jp

 

  今回の臨床試験は、高濃度のレスベラトロールを凝縮した実験薬の安全性と効果を検証する目的で全米21の医療機関の研究者が実施。アルツハイマー病の患者119人に、赤ワインのボトル1000本分に匹敵する量のレスベラトロールを含む実験薬と、偽薬を服用してもらった。
その結果、1年間にわたって実験薬を1日4錠服用した患者は、偽薬を服用した患者に比べて、髄液に含まれるアミロイドベータタンパク質の値が高くなることが分かった。 (上記リンクより引用)

 

アルツハイマー型認知症の発症には、脳への

 

  • アミロイドβの蓄積
  • リン酸化タウの蓄積

 

が関与しているというのが現在の仮説。

 

髄液に含まれるアミロイドβの値が高くなったということはどういうことかというと、レスベラトロールが「脳から髄液中にアミロイドβを逃がした可能性がある」ということ。

 

では、それで症状は改善したのだろうか?

 

  レスベラトロールを服用した患者の脳内のアミロイドベータタンパク質の値が低下したかどうか、認知機能の低下を抑える効果があったかどうかについては判断できなかった。ただ、歯磨きなどの日常行動を忘れずに行う能力がやや改善するなど、認知力の向上をうかがわせる兆候も見られたという。(上記リンクより引用)

 

ひょっとしたら進行抑制程度の効果はあるのかもしれないが、症状改善に効果ありとは言えない結果だったようだ。

 

抗アミロイドβ抗体薬の失敗と同じ流れのような気が・・

 

昨年NEJMに掲載されたこの論文。

 

Phase 3 Trials of Solanezumab for Mild-to-Moderate Alzheimer's Disease — NEJM

 

軽度から中等度のアルツハイマー型認知症患者に対して、ソラネズマブというアミロイドβ産生を抑制する薬の治療効果を検証した試験だったが、思わしくない結果に終わっている。

 

  • レスベラトロール≒アミロイドβを脳から逃がす
  • ソラネズマブ≒アミロイドβを脳に溜まりにくくする

 

ざっとこのように考えてよさそうだが、いずれにせよどちらも

 

  既に発症してしまったアルツハイマー型認知症患者には効果が期待できない

 

ということから、この路線の薬剤(抗アミロイドβ系)は積極的治療目的というよりは、予防や進行抑制目的での使用となるだろう。恐らく他剤との併用が前提となるのかな。

 

もしこれらの薬剤が発売されたとして、果たして自分が患者さんに積極的に使うかどうか?

 

アルツハイマー型認知症の発症閾値(どれぐらいアミロイドβが蓄積したらアルツハイマー型認知症を発症するか)が不明な以上は、恐らく使わないと思います。

 

今のところ期待したいのは、タウブロッカーですね。

  

www.ninchi-shou.com