鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

自院のことを考えつつ、患者さんの満足度に気をつけつつ。

 

病院を受診し、窓口でお金を払う。領収書を見ると、色々と書いてある。

 

  • 初・再診料〇〇点
  • 画像診断〇〇点
  • 投薬〇〇点
  • 処置〇〇点

 

各々を合計して負担率(3割や1割)を掛けた金額が、いわゆる自己負担額である。

 

医者が5分話そうが40分話そうが、患者さんが支払うお金は同じ。そして病院に入るお金も同じ。

 

患者心理としては、自己負担額が少ないにこしたことはない。

 

「出来れば支払いは少なく、尚且つ医者が時間をかけてくれたらいうことなし」というのが人間の自然な心理ではないだろうか。3分診療で納得するのは、時間に追われる仕事をしているごく一部の人達だけだと思う。少ない投資で多くの見返りを期待するのが人間心理というものである。

 

では、医者側の心理はどうか。少ない投資で多くの見返りを望むのは、医者とて同じであろう。

 

ただ、この「投資」と「見返り」の定義は、患者と医者では当然異なる。

 

実験的に、患者側では「投資=支払い額」で、「見返り=納得いく説明と十分な時間、良い治療結果」と考えてみる。

 

そして、医者側では「投資=一人の患者にかける時間」で、「見返り=患者総数とクリニックの収益」と考えてみる。「見返り=患者満足度」としたいところだが、数値化がむずかしい変数は極力はずして考えたいのでご理解を。

 

<見返り/投資>を大きくするためには、患者側は「極力支払いを少なく、極力時間をかけて納得いく説明を」となる。医者側では、「極力一人当たりの時間を少なくして、極力患者数を多く診ること」となる。

 

一人の患者さんに時間をかければかけるほど、一日に診ることの出来る患者数は少なくなり、その結果クリニックの収益は減る。

 

これは、保険診療の宿命である。

 

自由診療メインのクリニックならいざ知らず、保険診療が中心であれば、クリニックの経営のためには一定数の患者さんを診なくてはならない。

 

多数の患者さんにリーチ出来ることは嬉しいが、一人一人の満足度は気になる

 

患者さんが増えればクリニックの収益は増える。クリニックの収益が増えれば、

 

  • 借り入れの返済前倒し
  • 新たな医療機器の購入
  • スタッフ増員

 

など、投資拡大を含めた様々な選択肢が増え、打てる施策も増える。

 

なので、増患そのこと自体は経営者としては喜ばしいことなのだが、「1人あたりにかける時間が減っていることで、患者さんや家族から不満が出ていないか」ということは気になる。

 

当院は医者一人のクリニックなので、この「増患に伴い、一人あたりの診療時間が減る」という宿命からは逃れようがない。

 

ただ、診察までや会計窓口での待ち時間を利用して、当院スタッフが患者さんや家族と話す時間を増やすことで、何とか対応を試みている。

 

そしてそれは、今のところは上手くいっているように思っている。

 


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