鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

【症例報告】20代男性、ストラテラ内服で仕事の能率向上。

 

今回紹介するFTさんは、20代の男性である。

 

小学校低学年から60才過ぎの初老男性まで、当院で診ているADHD患者さんの年齢層は幅広く、みなそれぞれに生きづらさを抱えている。

 

薬に反応する方ばかりではないが、「生活を支援する」ということを大事にしながら付き合っている。

ストラテラで仕事のミスが大幅に減った20代男性

 

初診時

 

主 訴:物忘れ、段取りの悪さが気になる

簡易認知機能スクリーニングテスト:15/15

 

高校卒業後、調理専門学校を卒業し、20歳で他県に就職。しかし、うまくいかず8ヶ月で退職し、郷里に戻り再就職。しかしそこも長続きせず、現在の職場が3箇所目。ここでもやはり段取りの悪さや物覚えの悪さを指摘され、自覚もしているとのこと。

 

幼少時の特段のエピソードはないようだが、ASRSのA partは4/6。診察中もせわしなく体をボリボリ掻いたりキョロキョロし、多動とは言えそう。ADHDでいいのかな。笑顔は少なく活気はない。

 

頭部CTは特記所見なし。以前貧血を指摘されたことがあるとのことで、採血はしておく。


現在実家住まいで、朝は食べずに昼夕の2食。特別な偏食や精製糖質多量摂取の傾向はない。

 

採血でフェリチンは90と微妙。
その他のパラメータは軽度B3不足が推測されるぐらいか。

 

  • Vit.C1000x3
  • Vit.B50x1

 

を推奨。しばらく1ヶ月単位でみていこう。ストラテラやコンサータは今のところ希望なし。

 

4週間後

 

前回当院受診後、精神科の〇〇病院でスルピリドとソラナックスが処方された。


内服開始後、不安感は軽減していると。二次性障害(不安やうつ)が改善したということか。ADHDの可能性について〇〇病院医師は、「ADHDにしては軽すぎるかな」と言ったとのこと。

 

朝仕事に行くことを考えると動悸がする。ソラナックスは朝2Tにしてみましょう。今の飲み方は夜2Tだが眠気はないと。

 

ご希望ありストラテラ10mg開始。スルピリドとアルプラゾラムも当院からの処方をご希望された。フェルムは様子を見る。C1000x3とB50x1で、明らかに朝起きるのが楽になったと

 

3週間後

 

ストラテラによる効果の実感はまだない。副作用も特に感じない。


アルプラゾラムは効果が弱まった気がするとのことだが、増量はせず様子見で。

 

ADHDの可能性を指摘されたことは親には言っていないと。実家暮らし。

 

2週間後

 

ストラテラ20mgで、少し身体が軽いと。ただ、集中力アップなどの実感はないとのこと。


40mgに増量。夕に不安感が出ることがあると。朝のアルプラゾラムを1T夕方に回す。昔からカプセルを飲むのが苦手だと。半夏厚朴湯は考えておくか。気分の落ち込みの悪化はない。

 

メモの工夫について資料を渡し説明指導。

 

介入から3ヶ月後

 

ストラテラ増量で、はっきりと違いを実感すると。

 

物事を集中して考えられるようになり、仕事上のミスが少し減ったと。それを周囲から褒められるとまではいっていないようだが。

 

スルピリドは減量。ストラテラは80mgまでは使いたいが、それは自立支援申請をしてからがいいかな。

 

6週間後

 

ストラテラ増量希望あり、65mgに。


スルピリド減量で朝に動悸がするようになったと。これはストラテラの動悸ではない?
一旦スルピリドは戻すことにする。

 

メモの工夫は頑張っているようだ。自立支援申請も済んだ。

 

2週間後

 

ストラテラ40mgと65mgの違いは明らかだと。

 

元々家庭では問題なかったので、家族から「よくなったね」というような指摘はないが、仕事では明らかにミスが減った。効率性向上とまでは、まだいかないが。

 

仕事が休みの日にはストラテラも休む。飲むと明らかに集中力が増すのが分かると。
65mgでの維持を希望された。それでいいでしょう。

 

スルピリドを戻したことで動悸はなくなったと。維持。

 

介入から半年後

 

仕事で怒られることが明らかに減ったと。

 

自覚的他覚的集中力発揮と考えていいだろう。
9時にストラテラを内服して13時頃で眠気、眠前は動悸が少しあると。これらはストラテラ副作用とまでは言えないかな。

 

処方は維持。予約は電話で。

 

3週間後

 

今が、これまででベストの状態だと。
不安からの動悸を感じることはなくなったが、今しばらくはスルピリドとアルプラゾラムは継続希望。

 

3週間後

 

BP83/53

 

これまでで最も低い血圧。ふらつくことはないようだが、昔から朝が弱く、立ちくらみもしやすいとのこと。次回は3段階血圧測定を。

 

処方は維持をご希望。仕事はトラブル無くこなせるようになったと。
休みの日には服用しないが困らないと。"仕事モードに入るための薬"と考えておきましょう。

 

(最終処方)

  • ストラテラ65mg M
  • アルプラゾラム(0.4) 2T2XMA
  • スルピリド(50) 2T2XMA

 


Strattera 60mg flickr photo by gloom shared under a Creative Commons (BY-SA) license

 

www.ninchi-shou.com

 

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