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鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

【実験】ビタミン・ケトン療法(VKT)を始めるに先だって、まずは自分で試してみた。

雑記 雑記-実験シリーズ ビタミン・ケトン関連の話題

 

VKTとは、「パラダイムシフト好きの外科医のブログ」にて提唱された、ガンに対する治療法である。

 

自分の理解では、

 

  1. ガンに対する兵糧攻め目的で、スーパー糖質制限を行う。エネルギー摂取をタンパク質と脂質に頼るため、身体はケトーシス(高ケトン)の状態になる。
  2. 総ケトン体の血中濃度が1000μmol/Lを超えるとガンに対する治療効果が高まる。また、殺ガン作用のある高濃度ビタミンC点滴の効果が増強され、かつ量の節約も可能となる。
  3. 人為的に高ケトンの状態を作り出すために、補液としての点滴は糖フリーとし、アミノレバンやイントラリポスなどのアミノ酸製剤、脂肪製剤を積極的に使用する。経口ではMCTオイルやバター、生クリームなどを積極的に使用する。
  4. ビタミンは、Cのみならず脂質タンパク代謝に必要なビタミンB群も積極的に使用する。鉄や亜鉛、マグネシウムといった代謝補酵素となるミネラルも十分に補給する。

 

このような感じである。

 

元々自分は、パーキンソン関連疾患や認知症に対してグルタチオン点滴療法を行ってきた。

 

www.ninchi-shou.com

 

グルタチオン点滴には、ビタミンCやB群を様々に混注して効果増強を図ってきた。ちなみに、【グルタチオン800mg+ビタミンC2g+ビタメジン1A】は、自分にも複数回点滴をしてみた経験があるが、ビックリするほど肩こりが解消する。

 

日常診療に糖質制限を取り入れており、また様々にビタミン点滴を試してきたこともあって、癌治療が専門ではない自分ではあるが、VKTは試みやすい治療法である。

 

ただ、高濃度ビタミンCの量や滴下時間、B3によるナイアシンフラッシュの可能性などは気になるところ。

 

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先日、知人を通じてVKTの依頼があったので「どうせだったら、まずは自分で試してみよう」と考えて実行した。ちなみに自分は普段からスーパー糖質制限を行っており、ここ最近は総ケトン体400~600μmol/L程度を行ったり来たりしている。

 

当院における点滴の組成

 

前提として、高ケトン状態は患者さん自身で達成して貰うことを想定している。出来れば1000μmol/L以上が望ましい。

 

その上で、

 

  1. ビタミンC 10g+ビタミンB1 100mg+B2 100mg+B3 100mg+B6 100mg+B12 1000㎍(およそ30~60分)
  2. ビタミンC 20g+ビタミンB1 100mg+B2 100mg+B3 100mg+B6 100mg+B12 1000㎍(およそ60~90分)

 

この2コースを準備した。違うのはビタミンCの量と滴下時間だけであるが、点滴前にケトンが1000μmol/L以上を達成できていなければ、前もってイントラリポス50ml点滴を行うことも一応は検討している。

 

B5を加えるかどうかは少し悩んだが、これまでの経験でグルタチオン点滴にB5を加えてもよい反応が得られた方がいなかった(漸増しつつ、最大1250mgの使用経験あり)ので、今のところVKT点滴には加える予定はない。内服でB-50サプリメントを利用して積極的に摂って貰えばよいと考えている。

 

上記準備が整ったので、ある土曜日の午前の診療が終わった後で、1のコース(C10g)で点滴してみた。

 

VKT ナイアシンフラッシュ

 

点滴中に感じたのは以下。

 

  1. 心窩部のもやもや感
  2. 主に首回りから上のチリチリ感(フラッシュ)
  3. 血管痛

 

いずれも、点滴後は速やかに消失していった。

 

1は、以前ビタミンB2を40mg加えたグルタチオン点滴で腹部不快を訴えた方がいたので、B2の作用かもしれない。B3による動悸の可能性も考えたが、心拍数は70台で正常であった。

 

あるいは、腸の許容量を超えたビタミンC摂取は下痢や腹痛を起こす可能性があるらしいので、C10gの影響かもしれない。ただし、このもやもや感は点滴直後に始まったので、Cの影響にしては早すぎるようには思った。

 

2は、明らかにビタミンB3によるナイアシンフラッシュである。

 

3は、ビタミンCの影響であろう。希釈する生理食塩水の量や滴下時間の調整が必要かもしれない。血管痛が起きている箇所に沿って静脈が赤くなっていた。

 

ビタミンCによる血管痛

 

いずれも自分にとっては許容範囲内であったし、また点滴終了後は速やかに消失していった。

 

ただし、エネルギー代謝の個人差は大きく、そのことによって感じるナイアシンフラッシュ等の体感の個人差もまた大きいであろうから、事前にしっかり患者さんに説明しておく必要は感じた。

 

 

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