鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

糖尿病の治療薬に、大腸癌の発症を予防する効果がある?

糖尿病治療薬でピンときた。

 

メトホルミン ガン予防

 

 

糖尿病治療薬、大腸がん発症予防か…横浜市立大 : 科学・IT : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

 

メトホルミンに新たな可能性

 

  広く服用されている糖尿病治療薬の一つ「メトホルミン」を使う糖尿病患者が、使わない患者と比べ、大腸がんの発症が少ないことに注目。(〜中略〜)

メトホルミンを毎日服用したグループでは、切除後1年間のポリープの再発率が32%と、服用しなかったグループの52%を下回った。重い副作用は起きなかった。(上記記事より引用)

 

 

こちらもご参考までに。

 

肝胆膵消化器病学 中島教授らの研究グループが、糖尿病の治療薬メトホルミンを用いた大腸腫瘍の画期的予防法を開発 | 横浜市立大学先端医科学研究センター

 

以前当ブログで下記記事を上げたのだが

 

www.ninchi-shou.com

 

この中で自分が書いた以下の部分。

 

  ガン細胞の主要なエネルギー源はブドウ糖である。この知識を元に想像(妄想)を膨らませると、「糖質制限+メトホルミン」で、ガンの発育を抑制できるのでは?と考えている。

 

今後の研究の推移次第で、この想像(妄想)が裏付けられることになれば面白い。メトホルミン内服でポリープ再発抑制が期待できるのであれば、そこに糖質制限を加えると、更なる効果の上積みが期待できるのではないだろうか?などと考えてしまう。

 

何故メトホルミンで大腸ポリープ再発が抑制されるのか?

 

ガンの発生や進展については諸説あるが、

 

悪性腫瘍 - Wikipedia

 

 「炎症」は一つのキーワードだと思う。

 

共同発表:慢性炎症による大腸がん悪性化の仕組みを解明

 

インスリン抵抗性(インスリンが効きにくい状態)が存在すると、血糖値を下げるために膵臓はよりインスリンを分泌し、その結果高インスリン血症となる。

 

インスリン抵抗性のある肥満者が、減量によってインスリン抵抗性が改善し、CRP(炎症の診断に役立つタンパク質)の数値も改善するという報告があるので*1高インスリンの状態では身体に慢性的な炎症が起きていると考えて良いと思う。

 

メトホルミンの特徴は以下の4点。

 

  1. インスリンの感受性を高める(インスリンを効きやすくする)
  2. 肝臓における糖新生を抑制することで、血糖値を下げる
  3. 筋肉や脂肪組織など、末梢における糖の利用を促進することで、血糖値を下げる
  4. 小腸での糖の吸収を抑制することで、血糖値の上昇を抑制する

 

インスリンを効きやすくし、また必要以上のインスリンを膵臓に「出させない」薬、というイメージを自分は持っている。つまり、高インスリン状態にさせない薬。

 

メトホルミン以外の糖尿病の薬、例えばDPP4阻害剤やSU剤などは、基本的には膵臓からインスリンを「出させる」薬である。

 

恐らくメトホルミンは、インスリンを極力節約させることで高インスリン状態を回避し、その結果慢性炎症が起きるのを抑えることで、大腸ポリープ再発を抑制しているのではないだろうか?

 

もしそうだとすると、同じ糖尿病の薬でも膵臓からインスリンを「出させる」薬であるDPP4阻害剤やSU剤などではポリープ再発抑制効果は期待できないだろう。

 

そして、この想像(妄想)を敷衍させると、ひょっとしたらDPP4阻害剤やSU剤は高インスリンを惹起させてポリープ再発やガンの発症リスクを上げてしまう可能性はないだろうか?(妄想ですので聞き流して下さい)

 

 糖尿病の薬であるメトホルミンだが、糖尿病以外の様々な病気や身体の仕組みについて考えさせてくれる不思議な薬である。

 

*1:McLaughlin T, Abbasi F, Lamendola C, Liang L, Reaven G, Schaaf P, Reaven P (2002) Differentiation between obesity and insulin resistance in the association with C-reactive protein. Circulation 106 : 2908-2912