鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

前頭側頭葉変性症のサブタイプが難病指定に。

 朗報ですね。

 

medical-tribune.co.jp

65歳以下で発症した前頭側頭葉変性症(行動異常型前頭側頭葉変性症型認知症と意味性認知症)、かつ重症度分類3以上の方が対象

 

  前頭葉,側頭葉前方部を中心に神経変性を来す前頭側頭葉変性症(FTLD)の臨床サブタイプ,(行動異常型)前頭側頭型認知症(bvFTD)と意味性認知症(SD)が2015年7月1日から新たに特定疾患(指定難病)に指定された。指定難病と診断され,症状の程度が重症度分類で3以上ならば大幅な医療費の助成が受けられるため,長期療養を必要とした患者にとって朗報となる。(上記リンクより引用)

 

bvFTDとは、いわゆるピック病のこと。

前頭側頭葉変性症一般については、以下をご参考に。

 

www.ninchi-shou.com

 

自分の外来では、前頭側頭葉変性症の患者さんは相当数いる。ただし、65歳以下発症で重症度が3以上となると、恐らく数名だろう。

 

www.ninchi-shou.com

 

前頭側頭葉変性症の重症度分類

 

行動異常型前頭側頭型認知症(bvFTD)

 

  • 0:社会的に適切な行動を行える。
  • 1:態度、共感、行為の適切さに最低限だが明らかな変化。
  • 2:行動、態度、共感、行為の適切さにおいて、軽度ではあるが明らかな変化。
  • 3:対人関係や相互のやり取りに相当な影響を及ぼす中等度の行動変化。
  • 4:対人相互関係が総て一方向性である高度の障害。    

 

意味性認知症(SD)

 

  • 0:正常発語、正常理解。
  • 1:最低限だが明らかな喚語障害。通常会話では、理解は正常。
  • 2:しばしば生じる発語を大きく阻害するほどではない程度の軽度の喚語障害、軽度の理解障害。
  • 3:コミュニケーションを阻害する中等度の喚語障害、通常会話における中等度の理解障害。
  • 4:高度の喚語障害、言語表出障害、理解障害により実質的にコミュニケーションが不能。

 

3以上の重症度が必要ということですね。

以下もご参考に。

 

難病情報センター | 前頭側頭葉変性症

 

治療介入で改善した場合、申請は出来る?

 

たとえば、初診時で重症度3ぐらいであった63歳のbvFTD(≒ピック病)の方が、ウインタミン朝4mg-夕6mgを開始した結果、重症度が2になったとする。

 

この場合、初診時の重症度3を基準に難病申請してもいいのだろうか?

 

まあ、申請することには問題はないであろうが、「改善している」ということで審査で落とされたりしないかちょっと心配(多分杞憂)。