鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

【経過報告】以前シチコリンで復活した女性、再度のシチコリンでまたしても復活。

 以前、当ブログで紹介した方の経過報告。

 

www.ninchi-shou.com

80代後半女性 正常圧水頭症の術後、及びレビー小体型認知症

 

1年半ぶりの受診

 

息子さんと二人で来院。

 

前回の最終受診以降、当方の依頼通り訪問診療にてシチコリン継続は出来ていた。

 

しかし、2ヶ月前に有料老人ホームに入所してからはシチコリン注射は途絶えていた。そこからゆっくりと活気が低下してきたようだ。

 

  • 両側rigid著明
  • 視線は合わず、体幹は右前傾

 

現在は〇〇病院かかりつけ。ご希望があり、処方を一旦預かる。

シチコリン1000mgで再開。

 

頭部CTで基底核や頭頂で陳旧性梗塞痕が散見。脳梁は菲薄化しているように見えるが、水頭症による脳室拡大の影響はあるのだろう。ただし、著明な前傾姿勢からはCBDの可能性を疑うべき?左頭頂脳溝で左右差あり?

 

次回処方でメネシットを750→600にして、スタチンとネシーナは中止、サインバルタとバルサルタン減量、リバスタッチはそのうち9mgに減量。

 

シャント圧設定確認のため、次回はレントゲンを。圧は下げてもいいかな?グルタチオン点滴を試す?

 

採血でHb10.4にMCV102の大球性貧血。AST<ALTで軽度トランス上昇。HbA1cは5.5。これらは先月の採血結果。葉酸とB12は補充が望ましいかな?

 

CTにおける脳梁菲薄化

 

5日後

 

シャント圧設定は16cmであった。これを14cmに下げる。

 

  • メネシットは750mg→600mgに
  • リバスタッチは13.5mg→9mgに
  • バルサルタン40mg→ミカルディス10mgに
  • サインバルタ20mg→10mgに
  • ネシーナ→中止
  • プラバスタチン→中止
  • 葉酸とB12開始

 

シチコリン1000mg。地道に積み重ねてみる。

 

1週間後

 

  • シャント圧14cmへの調整で、目立った変化はなし
  • 食事は摂れている

 

今日は娘さん同伴。

 

次回処方では、サインバルタは終了としてアマンタジンを開始に。メネシットももうすこし減量かな。シチコリン1000mg。

 

1週間後

 

施設からの報告書から、シチコリン開始以降は咀嚼と嚥下、覚醒によい変化が出てきたことが窺える。

 

今回はメネシットを450に減量、サインバルタは終了とする。シチコリン1000mg。

 

1週間後

 

昨晩、排泄介助に入ったスタッフに「どうしたの?」と問いかけたとのこと。施設入所後はじめてのことで、スタッフは驚いたと。

 

倒れ込んで固定していた体を自分で持ち上げるようになったと。柔らかさが出てきたと。次からはシンメトレルを加えてみるかな。シチコリン1000mg。

 

1週間後

 

この1週間は、大きな変わりはなかったとのこと。

次回の処方日で、今後の注射間隔を再検討かな。シチコリン1000mg。

 

1週間後

 

視線を併せようとしてはくれるが、首は上がりきらない。

大体シチコリンで得られたメリットは見えた食事自己摂取可能となったのは大きい。
ここから先をグルタチオンを使うかどうかは、ご家族次第。次回は処方日。シチコリン1000mg。

 

1週間後

 

今日は顔を上げてはっきりこちらを見据え、頷き返してくれる。

ビタミンCとEで抗酸化対策開始、B群は一旦中止。
シンメトレルを朝に50mg、メネシットは300mgに落とす。

 

ご希望あり、次回からグルタチオン開始。初回は1600かな。今日もシチコリン1000mg。

 

1週間後

 

今朝、「おはよう」と施設スタッフに挨拶して、自分で入れ歯を嵌めたと。これは相当久しぶりのことだったようだ。

 

グルタチオン点滴開始。グルタチオン1600mg+シチコリン500mg。

 

1週間後

 

  • スタッフに挨拶を返す
  • 食事の自己摂取
  • うがいの成功率アップ

 

はっきりとした改善効果があるようだ。今回2回目のグルタチオンだが、G-Cは1600-500で当面継続かな。

 

再介入開始から、約3ヶ月

 

  • 熱はなく、血圧は110~130/60~80
  • 発語が増えている
  • 息子さんの名前は→〇〇(正解)
  • 子供は何人→指折りしすぎて笑いが出た
  • 食事は自己摂取、食べるスピードが増した

 

(考察)

 

全体的には、介入3ヶ月で大幅な改善である。

 

処方薬種類は介入当初よりも増えたが、ユベラとシナール、フォリアミンは栄養処方。その他の薬剤は、ほぼ全て減量ないしは中止している。

 

この方の場合、生活習慣病対策の薬が多すぎた印象。また、抗パーキンソン薬のメネシットも明らかに多すぎた。それらの減量中止と頻回のシチコリンが、効を奏したと思われた。

 

シチコリン投与総量は、3ヶ月間で9000mg。

 

(最終処方)

  1. マグミット(330) 2T2X
  2. プレタールOD(50) 2T2X
  3. ユベラ(50) 2T2X
  4. シナール配合錠 2T2X
  5. フォリアミン(5) 2T2X
  6. メネシット(100) 2T2X
  7. ミカルディス(20) 0.5T 1X
  8. リバスタッチ9mg
  9. シンメトレル(50) 1T1X

 

(最初の処方)

  1. マグミット(330) 2T2X
  2. シロスタゾール(50) 2T2X
  3. メネシット(250) 3T3X
  4. サインバルタ(20) 1T1X
  5. ネシーナ(12.5) 1T1X
  6. プラバスタチン(5) 1T1X
  7. バルサルタン(40) 1T1X
  8. リバスタッチ13.5mg