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鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

コリンエステラーゼ阻害薬の副作用を分析した報告

雑記 雑記-薬の副作用

 

ケアネットで見かけた記事のご紹介を。

コリンエステラーゼ阻害剤の副作用である「精神神経系障害」は、やはり多いようだ。

 

 

抗認知症薬の副作用
flickr photo shared by CJS*64 A man with a camera 

 

これまでにない大規模な副作用報告の集計

 

  研究グループは、1998年~2013年の間に5大陸からVigiBaseへ報告されたすべてのChEI(ドネペジル、リバスチミン、ガランタミン)関連副作用を抽出し、全般的な副作用、重篤な副作用、重篤でない副作用に関して分析した。主な結果は以下のとおり。

 

コリンエステラーゼ阻害薬の副作用、全世界の報告を分析|医師・医療従事者向け医学情報・医療ニュースならケアネット

 

  • 58ヵ国から合計1万8,955件(副作用件数4万3,753件)の報告があった(女性60.1%、平均年齢77.4±9.1歳)。

  • 副作用は精神神経系障害(31.4%)が最も多く、胃腸障害(15.9%)、全身障害(11.9%)、心血管障害(11.7%)が続いた。

  • 2006~13年の報告は、重篤でない副作用よりも重篤な副作用が多かった。重篤な副作用は精神神経系障害(34.0%)が最も多く、全身障害(14.0%)、心血管系障害(12.1%)、胃腸障害(11.6%)であった。

  • 投薬過誤は重症例の2.0%で報告された。

  • 死亡例は全体の2.3%であった。

原著abstractは以下。

 

Adverse Drug Reactions Reported With Cholinesterase Inhibitors

 

投薬過誤とはこの場合、過量投与という意味だろう。死亡例は全体の2.3%という数字だが、アリセプトの添付文書では、 脳血管性認知症(日本では適応なし)に対する試験において、プラセボ群1.1%に対してアリセプト群(5〜10mg)が1.7%、という数字があった(有意差無し)。

 

アリセプトの添付文書では

 

軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症では

 

  承認時までの臨床試験において、総症例457例中、 48例(10.5%)の副作用が報告されている。

また、98例(21.4%)の臨床検査値異常変動が報告されている。(承認時)

使用成績調査において、総症例3,240例中、346例 (10.7%)の副作用(臨床検査値異常変動を含む)が報告されている。(再審査終了時)

 

となっている。

 

高度のアルツハイマー型認知症では

 

  承認時までの臨床試験において、総症例386例中、 171例(44.3%)の副作用(臨床検査値異常変動を含む)が報告されている。(承認時)

 

となっており、臨床検査値異常変動を含めても副作用発現率が高まっているのが分かる。

 

日本では、高度のアルツハイマーに対してアリセプトは10mgまで処方出来る。副作用発現率の上昇は、素直に考えると用量の増加に伴うもの、と言えよう。

 

アリセプト23mgの認可が、重篤な副作用報告の数が増えた一因では?

 

ところで、今回の報告の中には

 

  2006~13年の報告は、重篤でない副作用よりも重篤な副作用が多かった。

 

という記載があり、これはちょっと注目に値すると感じた。

 

ドネペジル(アリセプト)の認可は1996年、リバスチグミン(リバスタッチ、イクセロンパッチ)は1997年、ガランタミン(レミニール)は2000年である(いずれも欧米において)。

 

発売から2006年までの間で、副作用に関する情報は徐々に周知されていったであろうから、発売から日が経つにつれて重篤な副作用報告が増えた、というのは解せない。普通は逆ではないだろうか。

 

2010年7月に、アリセプトは23mg錠に対する承認を取っている(アメリカにおいて)。そして今回のstudyにおいて88%が欧米からの報告であることを考えると、

 

  2010年7月に高用量アリセプトの承認が下りたことと、2006年から2013年にかけて重篤な副作用の報告が多かったことには、何らかの関係があるのでは?

 

と考えたくなるのだが、如何だろうか?

つまり、「高用量処方を認めた結果、全体としては重篤な副作用が増えてしまったのではないだろうか?」ということ。ただし、2006年~2010年6月(23mg認可前)までの重篤な副作用報告の増加の理由はわからない。2006年頃から、処方数が一気に増えでもしたのだろうか?

 

現在の添付文書において「重篤な副作用」は軒並み0.1〜1%未満となっているが、今後は今回の報告結果を盛り込んで、添付文書改正が検討されることはあるのだろうか?

 

添付文書へのリンクは以下。ご参考までに。

 

アリセプトD添付文書

 

 

コリンエステラーゼ阻害薬はアリセプトだけではないが・・・

 

今回の報告における抗認知症薬は、殆どがドネペジルとリバスチグミンとのこと(それぞれ41.4%)。なので、全てアリセプトでの副作用とする訳にはいかない。

 

ただし、市場占有率が8割という話もあるようなので (後発品が出た今となっては勿論下がっているだろうが)

 

ドネペジル - Wikipedia

 

コリンエステラーゼ阻害薬を、副作用も含めて代表する薬はアリセプトと言ってもいいだろう。アリセプトの副作用を理解することは、コリンエステラーゼ阻害薬全般の副作用を理解することに繋がる。

 

「精神神経系障害」を再度銘記することに繋がる報告として、今回のstudyを個人的には評価したい。

 

精神神経系障害とは、添付文書によると

 

  • 興奮
  • 不穏
  • 不眠
  • 眠気
  • 易怒性
  • 幻覚
  • 攻撃性
  • せん妄
  • 妄想
  • 多動
  • 抑うつ
  • 無感情

 

である。赤文字部分は、自分がよく遭遇する副作用で、青文字部分は遭遇したことのある副作用。

 

ほぼ全部経験しているようだ。

 

www.ninchi-shou.com

 

 

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