鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

3年間グルタチオン点滴を続け、一旦終了となったDLBの方。

 3年前からグルタチオン点滴をはじめ、このたび一旦終了となった方(TRさん)を御紹介する。

90歳女性 レビー小体型認知症(DLB)

 

他院でDLBの診断を受け治療が行われていたTRさん。歩行困難に対して抗パーキンソン薬を増量して対応しようとすると幻覚が悪化する、ということを繰り返していたらしい。

 

初診時の所見は以下。

 

  • HDS-R:8/30
  • 右上肢に歯車様筋固縮
  • 小刻みすくみ足歩行
  • 明瞭な幻視
  • 明らかに調子の波あり

 

上記以外にも、日中の傾眠や体幹の傾斜、REM睡眠行動異常(夜間の体動を伴う叫び)などから、診断はDLBで問題ないと考えた。

 

診察後にグルタチオン1200mgを投与。その直後から歩行が安定し、ご本人と同伴の娘さんが吃驚したことは、今では良い想い出である。

 

 

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点滴間隔は週に1~2回。

 

傾眠が強い時期はシチコリンを増量し、歩行困難が目立ってきた時期にはソルコセリル(最大16ml使用)を加えたりなどしながら、およそ3年にわたって続けてきた。

 

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グルタチオン点滴は、いつまで続ける?

 

それまで入居していた施設から別の施設へ転居してから、TRさんは明らかに歩行の衰えと傾眠が目立つようになった。

 

年齢を考慮すると歩行の再獲得は困難と思われたため、活気重視でシチコリン多めの点滴配分を心がけた。

 

ちなみに、後半戦で最も多用したGC配合(グルタチオンーシチコリン配合)はG1000-C1000であった。これは、TRさんに限らず汎用性の高い配合比率である。

 

穏やかな笑みを湛えながら点滴を受け、スタッフと会話を交わすTRさんは、一時期「先生の横に、ライオンが寝そべっているよ~」といったドキッとするような発言(幻視)があったりしたが、最近はDLBらしさは殆ど影を潜め、「ありがたい何か」といった存在になっている。神々しささえ感じられるほどである。

 

そして先日、3年にわたってTRさんを点滴に連れてきていたお嫁さんから、以下の様な申し出があった。

 

「先生、実は義母を点滴に連れてくるのが難しくなってきました。私の夫が病で倒れてしまって・・・」

 

お嫁さんのご主人とはつまり、TRさんの息子さんである。

 

3年にわたって続いたグルタチオン点滴は、こうして一旦終了となった。

 

フェルガードにしろグルタチオンにしろ、「いつまで続けたらいいのか?」と聞かれることがあるが、明確な決まりなど何もない。今のところ、

 

【用量を変えながら6回試してみて、変化がなければ終了。効果が確認出来たら、その後は通院の手間やお財布と相談しながら、できる限り続けられたら好ましい。】

 

というスタンスで行っている。

 

開始当初で効果の実感が得られても、途中からは効果が持続しているのか分からなくなってくることはある。そこで一旦やめてみるのは自由である。

 

やめても変わらなければ、そのまま中止すればよいし、やめて何らかの症状悪化があれば、再開すればよい。

 

点滴を終了して2ヶ月近く経過したが、幸い今のところ、TRさんの容態に変化はないようだ。

 

(現在の処方)

 

  • リバスタッチ9mg
  • ドパコール50mgx2
  • マグミット1000mgx2

 

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