鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

低力価スタチンで1.9倍、高力価スタチンで2.6倍、糖尿病発症リスクが上昇したというニュース。

 CareNetから。

 

www.carenet.com

脂質異常症の日本人6万8620人が対象

 

  脂質降下薬が糖尿病発症に関連するかどうか調べるために、日本大学薬学部の大場 延浩氏らが、脂質異常症の日本人労働者約7万例を対象とした後ろ向きコホート研究を実施した。その結果、糖尿病の臨床的危険因子の調整後も、スタチン使用により糖尿病発症リスクが1.9~2.6倍に増加したことが示された。(上記リンクより引用。赤文字強調は筆者によるもの。)

 

日本人のデータ、という点で貴重な研究。

 

これまで当ブログではスタチンについて幾つか記事にしてきた。

 

www.ninchi-shou.com

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ところで、健診でLDL-Cの上昇を指摘され、「心筋梗塞にならないように、これを飲まなくてはいけません」と医師に言われる更年期の女性は多いと思う。当院にも、その年代の女性がよく相談に来られる。

 

女性ホルモンの減少する年代の女性は、生理的にコレステロール上昇をきたすものである*1

 

当院では、中性脂肪が高値を示していなければ、LDL-C上昇については当面経過観察という方針をとっている。

 

中性脂肪とLDL-C、いずれも高い方には糖質制限の導入をお勧めしている。

 

LDL-Cを下げるためにスタチンを飲みましょう→(数年後)今度は糖尿病になったので、糖尿病の薬を飲みましょう→(数年後)〇〇〇・・・

 

上記〇〇〇に何が入るかは、皆さん想像してみて下さい。あまり、良い言葉は想像出来ませんよね(^^;)

 

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*1:女性ホルモンはコレステロールを原料にしてつくられる。つまり、女性ホルモン減少の結果、"原料"のコレステロールが余ってくるということ。