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鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

脳血管性認知症?それともレビー小体型認知症?

認知症の症例 認知症の症例-レビー小体型認知症(DLB) 認知症の症例-脳血管性認知症(VaD)

両方の可能性を視野に入れて治療を始める


短期間で急激に物忘れ症状が出現してきた、とのことでご紹介頂いた方。

脳血管性認知症 2ヶ月で柔和な表情に変化。

 

 

CTで脳梗塞を認めた。時計描画と透視立方体模写は問題なし。

 

2ヶ月間でHDSRは9点上昇。



86歳男性 レビー小体型認知症?それとも脳血管性認知症?


(記録より引用開始)

初診時


(既往歴)

心房細動で抗凝固薬内服中

(現病歴)

12月頃から急激に活気低下ともの忘れが出現した、とかかりつけ医から紹介。活気のない、硬い表情。入室時の歩行はスムーズ。

(診察所見)

HDS-R:17
遅延再生:2
立方体模写:OK
時計描画:OK
クリクトン尺度:9
保続:なし
取り繕い:あり
病識:あり
迷子:なし
レビースコア:3
rigid:なし
幻視:なし
ピックスコア: FTLDセット4/4
頭部CT左右差:なし
介護保険:なし
胃切除:なし
歩行障害:自覚的にあり
排尿障害:?
易怒性:なし


(診断)
ATD:
DLB:△
FTLD:
MCI:
その他:VaD

レビースコアは3点だが、パーキンソニズムや幻視、症状の変動など認めない。頭部CTでは基底核に脳梗塞痕を認める。麻痺はない。

VaD(脳血管性認知症)>DLB(レビー小体型認知症)で考える。

認知面向上を期してイクセロンパッチを開始。脳梗塞対策としてプレタール50mg開始。

次回までに活気上昇がなければ、サアミオンを使う?

2週間後


明らかに歩行がスムーズになった
笑顔が増えた
活気が上がった

奥さん、当方ともに確認できる。著効と考える。

処方維持で6週間分処方。次回はHDSRを。

6週間後


HDSR26
遅延再生5

表情含め、見違える改善。足取りも軽い。

抗凝固薬内服中であることを考慮して、プレタールは50mgに留める。紹介元にバトンタッチ。良かったですね。

(引用終了)

紹介元から嬉しいご評価を頂いた


短期間での急激な症状出現や悪化を認める場合、環境要因などが除外出来たら、脳血管性認知症かレビー小体型認知症の可能性を考える必要がある。

純粋に脳血管性認知症と判断したら、今のところ抗認知症薬はレミニールを選択することが多い(使用しないケースもある)。次回は、そのような方をご紹介してみる。

この方からはわずかにレビー小体型認知症の要素も感じられたため、イクセロンパッチを選択した結果、著効が得られた。

病型診断がずれていたとしても、イクセロンパッチであれば痛い目に合いにくいという計算もあった。

最初から抗認知症薬は使わずに、サアミオン+プレタールで治療開始、という選択肢もあろうかと思う。「迷ったらご本人やご家族と一緒に決める」というスタンスに立ち返ることは重要である。

後日、紹介元から下記のようなお返事を頂いた。モチベーションアップに繋がる嬉しいお手紙だった。

かかりつけ医 情報提供書