鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

アルツハイマー型認知症の原因となる物質を除去する抗体の開発に成功?

抗原抗体反応を利用

 
興味深いニュース

 
「アルツハイマー:大阪市立大 原因物質除く抗体作製成功 - 毎日新聞」
 
大阪市立大の富山(とみやま)貴美准教授(脳神経科学)らは、リン酸化タウが脳内に蓄積するマウスを人工的に作り、2歳まで脳内の変化を調べた。その結果、タウを構成するアミノ酸の一種「セリン413」のリン酸化が、病気の進行に深く関わると突き止めた。
 富山准教授らはセリンがリン酸化したタウのみを除去する抗体を開発、マウス約10匹に1週間おきに5回投与し、記憶力を調べるため迷路のプールで泳がせた。ゴールするまで、抗体を投与しないグループは平均35秒かかったが、投与したグループは平均約17秒で、記憶力の改善効果が確認できた。
 富山准教授は「従来の薬や運動療法と併用し、発症を予防したり症状の進行を遅らせたりする薬の開発が期待できる」と話している。

 LMTXとの違いは?


NHKスペシャルでも取り上げられた、タウブロッカーであるLMTX。


現在第三相試験中で、2016年には結果が出るらしい。かなり期待が持てそうな薬なのだが、検索をかけても殆ど有用な情報が出てこない。厳重に情報管理されているのだろう。


アルツハイマー型認知症発症の機序の一つとされるAβ42を除去しても、症状改善には繋がらないという報告も有るので、現在の症状の治療という意味では、原因物質の一つであるリン酸化タウの除去が最も注目されている。

LMTXの第三相試験にはFTD(前頭側頭型認知症)が含まれているものもあるようだ。またLMTXはTDP-43の凝集抑制効果もあるようなので、アルツハイマーに限らずタウオパチー一般に効果が期待できそうだ。

その点、今回発見された抗体はよりアルツハイマー治療に特化したものなのかな?

続報に期待です。