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鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

88歳男性 レビー小体型認知症の改善例。かかりつけ医にバトンタッチの際に必要なこととは?

 

診断においては、優先順位を付けることが大事。

 

88歳男性、DLB改善例

 

 

比較的急激な経過はDLBを疑う

 

レビースコア高得点

88歳男性 DLB+α?

 

初診時

 
(記録より引用開始)
 
(現病歴)
 
ここ数ヶ月で歩行障害と物忘れが進行した気がすると。
 
(診察所見)
 
HDS-R:17
遅延再生:0
立方体模写:OK
時計描画:OK
クリクトン尺度:19
保続:なし
取り繕い:なし
病識:あり
迷子:なし
レビースコア:8
rigid:ありあり
ピックスコア:0.5
頭部CT左右差:なし
介護保険:なし
胃切除:なし
 
(診断)
ATD:
DLB:〇
FTLD:
MCI:
その他:iNPH
 
歩行は小刻みで尿失禁ありと。今年の2月ぐらいから急に進んできたかなと。
 
頭部CTでは、両側シルビウス裂がやや開いて見えるが、頭頂脳溝消失はなく、典型的なDESHを呈してはいない。萎縮の左右差もなく、海馬萎縮は軽度〜中等度。
 
まずはDLBと考えてイクセロンパッチとメネシット50mgで治療開始。
遠方なので、落ち着いたら地元へのバトンタッチを図る。
 

5週間後


笑顔で入室。歩行の安定ぶりが印象的。「いいよ〜先生!」と。

著効例。家族も本人も大喜び。
しっかりしたことを言う、食欲が出た、速く歩けるようになった、と家族談。

地元へバトンタッチ。当面現在の処方を維持して頂くようお願いした。

良かったですね。

(引用終了)

比較的急な変化の場合に考えること

 

  • 脳梗塞の合併
  • 慢性硬膜下血腫の合併
  • 新たな変性性認知症疾患の合併
 
この3つは念頭に置いておきたい。
 
この方は、「歩行障害、失禁、物忘れ」と、一見正常圧水頭症を考えたくなるケースではある。ただ、頭部画像でDESHを呈してはいない点は重要。
 
レビースコア8点と、醸し出すレビー感を重要視し、DLB>iNPHの優先順位で治療を開始し、著効を得た。

認知症疾患を幾つか合併しているかもしれない場合、優先順位の付け方は重要である。正常圧水頭症に優先順位を付ける場合には、せめて「陽性症状」のコントロールをある程度行ってから、髄液排除試験を行った方が良い。

何故なら、本人が腰椎穿刺を受ける意義を理解出来ておらず、かつ怒りっぽいなどの陽性症状を呈していると、最悪の場合腰椎穿刺の瞬間に針を手で払いのけたりしてしまうからである。

これでは患者さん本人に、また検査を行う医師や介助に入る看護師にも危険が及んでしまう。

なので、基本的にはその方の陽性症状がどの程度のものなのかを確認してから、腰椎穿刺を行うようにしている。
 
ちなみに、かかりつけ医や地元のDrにDLBの方をお願いする際に重要なのは、
 
  当面リバスチグミンの量を現状維持して頂くよう情報提供書に明記する
 
ことだと思っている。
 
折角4.5mgで著効しているのに、バトンタッチ後に添付文書通りに一気に18mgまで上げられて台無しになったケースを、複数経験しているので。