鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

鎮痛剤を使わない頭痛の治療? 三人目

これまで数例記事を書いているが、頭痛治療にウインタミンが奏功する場合がある。

今回ご紹介するのも、そのような一例。

ウインタミンで頭痛の治療

 

画像上はどちらかというとFTLD的か

 

73歳女性 慢性頭痛

 

初診時


(記録より引用開始)

頭痛の訴えで一般外来受診。

現在アルツハイマー型認知症の診断でアリセプトを内服中。旦那さん曰く、内服を始めて良くも悪くも変化はないと。

頭痛は数十年来のようだ。両側性でこめかみ周囲を気にしている。拍動性はなく、光刺激もない。嘔気もない。頭重感でもない。肩こりはない。基本的に毎日痛いと。鎮痛剤(ノーシンか)を毎日のように飲むと。

頭部CTで海馬萎縮はさほど目立たず。萎縮の明らかな左右差はないが、頭頂付近ではPick切痕及び頭頂葉萎縮回避のような所見を認める。画像的にはATDよりはFTLD的かな。水頭症所見はない。

何となく漂うピック感
朝4mgだけ、ウインタミンを試してみましょう。

2週間後


全く頭痛を言わなくなりました、と旦那さんが大喜び。本人は少し嬉しそうにみえる。もうしばらく4mg継続。

更に3週間後


数回頭痛があったが、これまでのように毎日訴えなくなったおかげで、落ち着いて過ごせているとのこと。

かかりつけにバトンタッチ。良かったですね。情報提供書作成。

その翌週


かかりつけから、「そんな処方はウチでは出来ない」と言われたらしい・・・
当院で継続。

(引用終了)

通常の頭痛治療で埒があかない場合には、一考の価値あり


今回はかなりたて込んだ一般外来にポンと訪れた方であったので、長谷川式テストやピックスコアをつける余裕が無かった。頼りにしたのは、

  • 何となく漂うピック感
  • FTLD感のある画像
 
この2点。

常同的な訴えがあり(今回の場合は慢性頭痛)かつ、肝機能異常を認めなければ、ごく少量のウインタミンは一考の価値ありだと思う。

ただ、今回のようにかかりつけから「そんな処方はウチでは出来ない」と言われても、「それはそうだろうなぁ・・」と思う。

頭痛治療でウインタミンが処方されているケースなど、自分も見たことが無いのだから(自分が知らないだけかもしれないが)。