鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

その表情や態度、そして頭部CTが気になった30代女性。

今回は、救急外来あるある話(?)

夜間救急外来の当直中に、2日前からの頭痛を訴えて来院された方。過去カルテを調べると、これまでにめまいや頭痛で数回、来院歴があった。

頭痛の性状は、

  • 左側片側性
  • 拍動性
  • 光刺激有り
  • 体動に伴い悪化する
  • 軽い吐き気を伴う
 
などなど、片頭痛の要素を多く認めた。
ただ、「これまでにない強い頭痛」とのことであったので、念のために頭部CTを撮影した。
 
幸い、最も恐いくも膜下出血は無かったのだが・・
 

30代の頭部CT?

 
気になる小脳萎縮
 
1枚目。小脳の萎縮あり?
しかし、歩行障害はない。スタスタと歩いている。
 
軽度の海馬萎縮
 
2枚目。やはり気になる小脳萎縮。
30代にしては、海馬もやや萎縮かな。
 
側頭極の萎縮
 
3枚目。側頭極に萎縮を認めるようだ。
 
微妙な萎縮の左右差
 
4枚目。ほんのわずかだが、左の方が萎縮している?
 
前頭葉萎縮と頭頂葉萎縮回避
 
5枚目。前頭葉の萎縮と、頭頂葉の萎縮回避?
 
気になる所見が満載。
 
「読み過ぎ」の可能性は大いにあるとは思う。そして実際の患者さんは・・・
 

症状が気になり画像をみる。画像が気になり、症状を詳しくみる

 
  • やや呆然とした表情
  • 目は少し見開き気味
  • こちらの問いかけに、何故か突っぱねるような返事の仕方
  • 横柄な態度
 
これらの一つ一つに、いわゆるピック感を感じた。

 

 

その目で改めて画像を見直すと、どんどん気になってくる・・・
 
勿論、頭痛で辛くて不機嫌な態度になっているだけかもしれない。ただのキャラクター、という可能性もある。
 
そして、たて込んでいる夜間救急外来で、長谷川式テストやピックスコアを採点している余裕は無い。
 
結局は、片頭痛の可能性を指摘するに止め、鎮痛剤処方と次回外来受診を促して帰宅とした。
 
でも、気になる・・・
 
「FTLDっぽい画像だよなぁ」
「あの小脳萎縮はなんだろう?」
 
こうして、当直の夜は更けていく・・