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鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

介護者の苦悩③

 

スタッフ間の温度差

 

現場の声を届けて頂いた方から、またメールを頂いたので紹介する。少々長いが、全文引用。
 
(引用開始)
 
有料老人ホームに勤めていた頃、早期のDLBの入居者に気付き、そのことを施設長(元看護師)に報告したら、「ここは認知症を勉強する所ではない。そんなに興味があるなら、医療機関に行きなさい」と言われ、色々あってそこを辞めました。
ちょうどその頃、介護福祉士の資格を取得していて、現在勤務している特養の施設嘱託医からお誘いがあり、入職させていただきました。その後、コウノメソッドを全面的に採用していただきたく、再三提案しているのですが、なかなか思いようにはいきません。
その嘱託医と私的に話しをしていると、どうも現場の実情が看護師から詳細に伝わってきていないようです。だからでしょう、
 ・寝たきりのLPCの人にマイスリーのみが処方されている。
 ・寝たきりのCBDの人にロヒプノールが処方されている。
 ・ATD末期で寝たきりの人にアリセプト3mgが処方されている。
ということが分かりました。(ほんの一例です。)
以上は、私の臨床判断(診断ではない)で、投薬はたまたま一包化された袋の記載を見ただけで、介護職には特段知らされる訳ではありません。投薬は看護師の仕事なので、介護士は殆ど関与しません。看護師によっては、飲んだことの確認を依頼されるだけ。
私のように、薬のことに口出しすると嫌がられますし、口論にまで発展します。実際、入職1年目で、ピック病の入居者の治療をめぐって看護師(課長)と口論となりました。
「私たちがこれまでにどれだけ苦労してここまで落ち着いた状態にしたと思うんね!」と感情的に怒鳴られました。
私に言わせれば、治療不完全で処方がまずいだけのことであって、ウィンタミンで落ち着かせ前頭葉機能を改善ればいいだけのことでしょ。それすらできていない、ただそれだけのこと。
たまたま見かけただけでこういう有様なので、もし、コウノメソッドを理解して症状と処方薬のレビューをしたら、色々と問題点が出て来ることでしょう。
現場の現実はそういう訳には行きませんから、認知症を取り巻く課題は根深く、単に医療現場だけでなく介護現場も含めた抜本的なシステムを変えない限り解決できないでしょう。
施設受入時に、医療情報提供シートが送られて来るのですが、そこに記載された傷病のうち、認知症に関しては疑問点が多いのです。ただ「認知症」とのみ記載されていたり、「パーキンソン病認知症」と記載されていたり、処方薬がないとか不適切であったり、診断が明らかに不適切だったりと、色々と見つかります。
中には、教科書にも載っていない、ネットで検索しても見つからないような病名(?)を書いている医師もいます。
入所受入時に前医の診断と処方を鵜呑みにしないで欲しいものです。嘱託医のレビューが必要です。但し、嘱託医にそれができるだけの治療能力があるかどうかが課題でもありますが。その後、介護現場で様子をしっかりと観て、再レビューです。
 昨年の夏、前頭葉機能の低下(ピック化)が徐々に進行していた入居者の様子が気になり出しました。
常同行動、口唇傾向、使用行動が酷くなっていたのです。BPSDがおとなしいタイプですから介護上大きな問題にはなってはいませんでした。食事と排泄に手がかかるだけです。
そこで、あまりあてにはしていないけれど、医療情報提供シートを見ると「慢性硬膜下血腫」と既往歴の記載されておりました。本人の頭部を見ると、手術痕もありました。
更に主治医の意見書を見ると、そこにコウノメソッド実践医のお名前が記載されたシートがあり、納得の行く記述がありました。
「慢性硬膜下血腫によるピック症状なら、治せる可能性がある」と思った私は、直属の上司にその旨を伝えました。
「心配は解るけど、ご家族が面会に来てくれないから、どうしようもないですよ」と言われ、そこで話しは終わりました。
大声を出すことも、暴力もないので、現在は寝たきり(寝かせきり)状態は避けられてはいますが、生活のすべてが全介助で、失礼ながら家畜同然の生活をしています。
家族関係にまで立ち入ることは、そうそう簡単にはできませんが、見るに忍びない現実です。
家族関係そのものはどうすることができなくても、仮に認知症の人の介護負担が家族関係に多大な影響を与えているならば、それは認知症医療でなんとかして欲しいものです。
 
(引用終了) 
 

ケア>薬?

 
便秘が解消されたら周辺症状がよくなった、認知症を発症したかと思っていたら、それはある薬のせいだった、などという事例はよくあること。
 
全ての事例に「薬で何とかしよう!」という方針では、上手くいかないことは当然出てくる。
 
しかし、長年ケアで頑張ってきた方の中には、
 
認知症の方に一番大切なのは介護やケアであって、薬は不要である
 
と信じている人達がいる。
 
恐らく、マズい投薬で悪くなった例を経験したからだと思うのだが、ケアのみで乗り切れるケースは、むしろ少ないだろう。
 
薬もケアも、両方大切
 
当たり前のことのようだが、これがスタッフ間で共有出来ていない施設は多いのだろう。

自分のような、施設嘱託医ではなく外来担当医の場合は、家族やスタッフに連れてきてもらって初めて患者さんに会える。

「安全に、かつ薬の効果を速やかに証明する」ことで、少しでもスタッフや家族の意識が変わってくれたら、といつも思っている。

時間がかかっても改善してくれたらいいのであるが、早く改善してくれたらそれに越したことはない。

ここで失敗したら、「ヤッパリ薬はダメなんだ」と思われてしまうので、我々の責任は重いとつくづく感じる。

今回はこれで終了。

 

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