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鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

前頭側頭葉変性症(意味性認知症) 83歳女性

認知症の症例 認知症の症例-前頭側頭葉変性症(FTLD)

 

難聴ではなく認知症です!

 
慌てて連れてきたご家族が言うには、「急に耳が聞こえなくなったみたいで」とのこと。
 
 

意味性認知症 83歳女性 脳萎縮の左右差

 

 

意味性認知症 83歳女性 長谷川式など

(記録より引用開始)
 
 

初診時


独居。車で40分の処に住む弟夫婦がちょくちょく様子を見に行く。
今朝電話がかかってきたが、こちらが問いかけても無言で切る、という行動を何度か繰り返した。様子を見に行くと、話が全然かみ合わないとのことで受診。
以前からゴミの収集癖があるとのこと。
 
 
HDSR:5
遅延再生:0
立方体模写:不可
時計描画:まずまず
保続:なし
取り繕い:なし
病識:あり(昨日から頭がおかしいと自分で話す)
迷子:なし
レビースコア:次回
rigid:なし
ピックスコア:5.5
頭部CT左右差:わずかにありかな
クリクトン尺度:13
介護保険:要介護2
胃切除:なし
 
(診断)
ATD:
DLB:
FTLD:〇
MCI:
その他:
 
SD(意味性認知症)を考える。昨日から頭がおかしくなったと本人談。
すでに他院でアリセプト内服中。悪さはしていないようだ。次回から当院処方でレミニールを。
朝しか内服はできない環境。ウインタミン6mgを出し、フェルガード100Mをすすめた。
 
介入度合いを増やして、朝夕の内服が可能と出来ないだろうか。
主治医意見書見直しも必要かな。
 
(引用終了)
 
 

アルツハイマー型認知症と間違われる意味性認知症

 
介護保険を使用して、何とか独居していた方。
前医の診断はアルツハイマーで、長らくアリセプトを5mg内服。特に良くも悪くも無く、という経過だったようだ。
 
  • 頻繁な振り返り動作
  • 「わからん」の連発
  • 「頭がおかしくなった」と嘆く
  • 以前からゴミの収集癖
 
こういった症状は、意味性認知症を示唆する。前頭側頭葉変性症のカテゴリの一つである。
意味性認知症の場合、
 
  • 相手の話す言葉の意味がわからない
  • 道具は使えるが、道具の名前が分からない
 
という症状が目立つ。いわゆる語義失語である。
 
耳が遠くなった、とご家族が思っても不思議ではない。だが、その場合本人は「頭がおかしくなった」とは言わずに、「聞こえなくなった」と言うだろう。
相手から聞こえてくる言葉の意味がわからない為に混乱して、その結果「頭がおかしくなった」と言っているのだろう。
 
 
よくあるパターンとしては
 
  • 最近、「なに?」と相手の言葉を聞き返すことが増えてきた
  • 耳が遠くなってきた、と家族は考えて補聴器をつくる
  • 日常生活はそこそこ自分で出来ているが、意思疎通が少し困難になってきた
  • 認知症を疑って病院に連れて行ったら、長谷川式テストで遅延再生(短期記憶)が悪く、「アルツハイマーでしょう」と診断を受けてアリセプトが始まる
  • 病状が進行してくると、「アルツハイマーが悪化してきた」として、アリセプトが増量される
 
など。
 
意味性認知症の方が遅延再生で点数が取れないのは、短期記憶が落ちているからでは無く、相手の言っている意味がわからないから、答えようがないのである。
 
幸いこの方はアリセプトが大きな悪さをしていなかったから良かった。これがピック化してきた方であれば、猛烈に怒り出したりして大変だったかもしれない。
 
ご家族が主治医変更を希望されたので、かかりつけに情報提供書を作成し、当方でお預かりとした。落ち着いたら、またお願いする予定。
 
残薬を一旦消化して頂く。コウノメソッドのFTLDセットに従い、次回からは約1週間の休薬後アリセプト→レミニールに変更予定とし、また最近少しずつ怒りっぽくなっているとの情報があったので、念のために今回はウインタミンを6mg朝だけ処方、併せてフェルガード100M内服も勧めておいた。
 
今回はこれで終了。

 

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