鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

たまたま見つけた脳萎縮の進行から、色々なことを想像する。

脳萎縮の進行 認知症の進行もあるようだ

 

自転車で転倒し、救急車にて来院された84歳男性

 

以前から認知症を指摘され、現在も他院で治療中とのこと。

 

当方では怪我の処置のみ行った。念のために頭部CTを撮影し、幸い脳の損傷や骨折などはなかったが、以前のCTが残っていたので比較してみた。

 

大体同じスライスで比べてみたが、脳室系(中心の線を挟んで左右対称の構造物)は前角、三角部いずれもやや拡大。その他、前頭葉穹隆部と内側の萎縮も進行。側頭葉萎縮に関しては若干だが右優位な印象。

 

容貌は普通に見えるが、話した感じではやや怒りっぽく病識はなし、取り繕いが多い印象。奥さんに話を聞くと、

 

  • 最近怒りっぽくわがままになってきた
  • 自転車に乗るなと言っても聴かず、何度も転んでいる
  • 認知症の薬もずっと変わらず同じ 

 

とのことであった。

 

アルツハイマーの進行だろうか?そろそろ抑制系のクスリも少し検討すべきかな?中核薬はそのままでいいのかな?などと考えつつ、傷の処置を終えてご帰宅。

 

全ての患者さんに深く介入出来る訳ではない。既にかかりつけの病院がある場合には情報提供を行うが、介入そのものを拒まれることもある。これはちょっとした悩みである。