鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

「コロナワクチンの接種は任意」という原則は、認知症高齢者で守られるだろうか。

コロナワクチン(コミナティ筋注)の接種が進んでいる。 厚生労働省の発表する「先行接種者健康調査」によると、先行して接種した約2万人の医療従事者における副反応の出現率や種類は以下のようになっている。 既に各所で指摘されているように、2回目の摂取後の全身…

【症例報告】語義失語、左半側空間無視、左上肢の肢節運動失行を呈していた高齢女性。

Nさんは、夫と二人で暮らす80代後半の女性である。 火の消し忘れ、冷蔵庫の開けっぱなし、料理の味付けの変化など気になることが増えてきており、また、内服中の薬が多すぎるのではないかとのことで、御家族に伴われて受診された。

【症例報告】1年間でHDS-Rが10点上昇したレビー小体型認知症の女性。

レビー小体型認知症の80代の女性、Aさんを紹介する。 余計な薬を省き、必要と思われる薬を少量使用するといういつものやり方で、当院に転医してから1年でHDS-Rは18点→28点に上昇した。 Aさんにはドパコールがとても良く効いてくれたのだが、ドパミン不足の方にドパ…

減薬医としての矜持。

Aさんは施設入所中の方だ。 かかりつけの病院で何かを相談するたびに薬が増え、その都度具合が悪くなっていくという状況に業を煮やした家族が、「ちゃんと診断して、出来れば薬を減らして欲しい」と希望してAさんを僕の所に連れてきた。 前医の診断はパーキンソン病…

前頭側頭型認知症(意味性認知症)、5年の経過。

前頭側頭型認知症(意味性認知症)のHさんを紹介する。 これまで2度、Hさんに関する記事は書いている。

患者にとって危険な医師。

レビー小体型認知症の方にドネペジルを新規処方、3週間で10mgまで増量し放置した脳神経内科医について書いた前回のブログを読まれた方からお手紙を頂いたので、一部抜粋して紹介する。

あるレビー小体型認知症の女性に起きた悲劇。

若干の前傾姿勢に影のある表情から、初見でレビー小体型認知症だろうと推測することは難しくなかった。 Aさんは70代で独居の女性である。

新型コロナウィルスワクチンについて。

先日、医師会から新型コロナウィルスワクチンに関する「意向調査」なるFAXが届いた。 (゚A゚;)ゴクリ 前のことがあるので、今回は慎重に臨む。

狂気。

Aさんは、同居する夫と息子さんに伴われて来院した。 「高齢となった父母の、念のための診察」という体であったが、お子さんからは事前に「精神病と思われる母親を診て欲しいが、自分一人の診察だと感づくと絶対に受診しない人なので、父親も連れて行くから形だけでも…

【2020年まとめ】8年間の認知症外来診断結果報告。

今年の締めくくりとして、2012年11月20日から2020年11月30日までの、約8年間の「認知症外来初診時における臨床診断結果」を報告する。 「アルツハイマー型認知症+特発性正常圧水頭症」といったような複数の認知症疾患を合併しているケースや、進行性核上性麻痺や大…

【症例報告】介入から1年。当初より増薬にはなったが、状態は安定した女性。

くも膜下出血後の方を1年間フォローした経過を紹介する。 経過中に圧迫骨折があったりパーキンソニズムが目立つようになったりなど色々あったが、何とか入院することなく、かつ介入当初よりも改善に持っていくことが出来た。 このような症例は恐らく、診療科を分…

バセドウ病の改善例。

30代の女性Aさんが、頭痛と物忘れの相談で来られた。 「まず認知症ではなかろう」と思いながら形式的に行った長谷川式テストは満点で、視空間認知テストも問題はなかった。 「発作が来ると光をまぶしく感じる」という症状は片頭痛的だったが、どちらかといえば天候や…

【症例報告】スーパー糖質制限でHbA1cが大幅に改善した、2型糖尿病の男性。

炭水化物を外して野菜含めオカズをしっかり食べるというシンプルな方法のみで(サプリをサポートで軽く入れてはいる)、介入から約3ヶ月で大幅にHbA1cの改善が得られた男性を紹介する。 今後期待するのは体重減だが、元々が肥満だったようなので、ある程度で頭打ち…

プロルベインで動脈硬化が改善した症例。

動脈が硬くなり、血管の弾力性が失われた状態のことを「動脈硬化」と呼ぶ。 動脈硬化が起きる原因として 喫煙 複数回繰り返される食後高血糖 この2つを個人的には重視している。コレステロール値が高いだけで動脈硬化が起きるわけではないことを知っておくのは大…

【症例報告】ピンチを救ってくれたデエビゴ。

新薬は通常、市販後1年間は2週間の処方日数制限がかかる。 その薬が安全なのかどうかを、処方する医者が十分観察する機会を担保するためだと思われるが、月に2回、1年間で25回ほどの診察が必要となると自分も患者も大変なので、よっぽどの理由がなければ新薬を使う…

釣り針が刺さって抜けないときの対処法。

外科の休日当番医をしていたある日、「投げ釣りで竿を振ったら、後頭部にルアー(疑似餌)の針が刺さって抜けなくなった」という小学生が来院した。 返しのついた3つの針のうち、2つが右後頭部に刺さっていた>_

気づいたら、コロナの「診療・検査医療機関」の指定を受けていたという話。

10月31日の南日本新聞のトップに、「発熱受診は813医療機関」という見出しの記事が載っていた。

3年経過を診ているレビー小体型認知症の女性。

現在80歳の女性Aさん。 当院を受診する1年半ほど前から、ご主人はAさんの物忘れと怒りっぽさが気になり始めた。 専門の病院を受診したところアルツハイマー型認知症の診断が下され、ドネペジル3mgが開始となり2週間後には5mgに増量された。

【症例報告】17種類の薬が処方されていた高齢女性。

90歳を目前にした独居女性に、17種類の薬が投与されている状況を目の当たりにした時に、 「これはマズいんじゃないか?」 と思うか、それとも 「これだけの薬を飲まないといけないほど、具合が悪い人なのだろう」 と思うか。

【症例報告】約10年間、同じ処方が続いていたパーキンソン病の女性。

診断から10年経過したパーキンソン病の女性が、他院より転医希望でやってきた。 彼女が転医を希望した理由は、ただ一つ。 「かかりつけ医に何度お願いしても、薬を変えて貰えないから」

【症例報告】アルツハイマー型認知症と診断され10年間、抗認知症薬を飲み続けていた女性。

今回紹介する方は、90歳の女性Aさん。10年前にアルツハイマー型認知症と診断された方だった。 経験とは有り難いもので、目の前に現れたAさんを一目見て、「10年経過したアルツハイマー型認知症ではないだろうな」と判断できた。

医療法人「結縁会」を開設。

2020年10月、クリニックを法人化した。 2016年4月に開業して4年半で打った、一つのマイルストーン。 法人という縛りの中で、自由を探索する 法人名を考えるのは、生まれてくる子どもの名前を考えるのと似た楽しい作業だった。 医師という職業の持つ公益性を自覚して…

【10年目】糖質制限の経過報告。

2011年の9月から始めた糖質制限が、この9月で10年目に入った。 最近はコロナ渦で多少の緩みは生じているが、体調は大きくぶれることなく良好である。 先日行った血液検査の結果を、単位を省略して以下に示す。左が1年前で右が今回の結果だが、目だった異常値はない。

脳神経外科無床クリニックの一日。

当院のある一日を切り取ってみる。 母親を施設に入れるかどうかで悩み、うつを発症してしまったAさん。抗うつ薬を飲むようになり2年経ち、病状は安定しているので薬を減らしたいとのご希望だった。 予約枠は空いていなかったのだが、たっての希望で受診となった。診…

3年間の結晶。

苦虫を噛みつぶしたような表情で人を罵る、強面の女性患者Aさんとの思い出を語ろう。

【症例報告】リスペリドンが著効した、遅発性パラフレニーの女性。

高齢者の妄想言動は認知症と結びつけられがちだが、認知症であれば通常、生活全般を営む力が衰えてくる。 生活力は維持されているにも関わらず妄想のみが突出している場合は、認知症ではなく遅発性パラフレニーである可能性が高い。

「みんなで安心マーク」から考えたこと。

日本医師会が、医師会の提唱する新型コロナウイルス感染防止対策を遵守する病院に対して、「みんなで安心マーク」なるポスターを発行している。 8月26日14時30分の時点で7651施設に発行されたとのこと。

抑肝散・抑肝散可陳皮半夏の使い方。

今回は、抑肝散・抑肝散加陳皮半夏の使い方を紹介する。

【症例報告】減薬、トラゾドン、機を見ての抑肝散加陳皮半夏で落ちついた94歳女性。

今回紹介する方の処方ポイントを、簡単にまとめる。「何かを足したら、何かを引く」のはいつも通り。 抑肝散はタイミングが大事 ベンゾジアゼピンの多重処方は避ける トラゾドンの抗不安作用・睡眠作用は侮れない(特に高齢者) 抑肝散の使い方については、次回まとめ…

プラセンタ注射について。

2ヶ月ほど前からプラセンタ注射を始めた。今のところ、患者さん達の評判は軒並み良好である。