鹿児島認知症ブログ

鹿児島でコウノメソッドや糖質制限を実践している脳神経外科医のブログ

認知症の症例

【症例報告】何かを足したら、何かを引く。

多剤併用で害が起きている状態を、ポリファーマシーと呼ぶ。 今回は、足し算医療によるポリファーマシーでバランスを崩していたNSさんをご紹介する。 「何かを足したら何かを引く」のが高齢者医療の鉄則だが、最初からそれを心がけておけばポリファーマシーは激減す…

【症例報告】眠剤変更のみでほぼ落ち着いた87歳男性。

易怒や興奮を抑えるために、かなりの抑制系薬剤が投入された状態で他院から紹介があったHKさん。 抗精神病薬の影響と思われる身体の固さ、表情の乏しさ(≒薬剤性パーキンソニズム)を認めた為、「精神系の薬が多すぎるので、減らした方がいいと思うのですが」とご家族…

【症例報告】脳萎縮に明確な左右差がある男性。

軽度認知障害(MCI)の男性を紹介。 脳萎縮に明瞭な左右差があるため*1、今後MCIからFTLDに移行していくのかを注意深く見守っている。 *1:脳萎縮に明瞭な左右差を認めた場合、前頭側頭葉変性症(FTLD)の可能性を念頭に置く。

【症例報告】PSP+iNPHの方。

今回は、PSP(進行性核上性麻痺)+iNPH(特発性正常圧水頭症)を合併していたNMさんをご紹介する。 前医の脳神経外科でPSPを指摘され、グルタチオン点滴が開始されていたが、効果は感じていなかった。 当院で初回1600mgでグルタチオン点滴を行ったところ即座に歩行に…

【症例報告】切れ味良くイクセロンパッチが効いた84歳女性。

「イクセロンパッチやリバスタッチが効くときは、大体こんな感じだよね」という典型例をご紹介。 「アルツハイマーね、ハイ薬ね」ではなく、じっくりと考えてもらい決断してもらったというプロセスが重要で、そこに本人も加わっているというのが更に重要。 初診で認知…

進行性核上性麻痺(PSP)の画像所見について。

進行性核上性麻痺(PSP)とは、 垂直方向の眼球運動障害 姿勢障害による易転倒性 頚部体幹優位の固縮や寡動などのパーキンソン症状 認知機能低下 などを主症状とする、進行性の神経変性疾患である。詳しくは、前回記事をご参考に。 www.ninchi-shou.com 今回は、PSP…

進行性核上性麻痺(PSP)について。

進行性核上性麻痺(PSP)とは、 垂直方向の眼球運動障害 姿勢障害による易転倒性 頚部体幹優位の固縮や寡動などのパーキンソン症状 認知機能低下 などを主症状とする、進行性の神経変性疾患である。 「目は見開き気味で認知機能低下があり、身体は固い。首を後ろに…

病型診断だけでは片手落ち。

言葉によるコミュニケーションがうまくいかない時に考えること。

【症例報告】待ってくれている人がいるから。

MTさんの奥さんは、突如出現した夫の猛烈な嫉妬妄想と幻視に苛まれていた。 自分のクリニック以外の所であれこれとコトが動いていたので、正直あまり深く関わったわけではない。ただし、数回の介入がその都度奥さんを少しずつ救ったという点では、効率的介入だった…

【症例報告】前頭側頭型認知症の方。2年4ヶ月のお付き合いの末、かかりつけ医変更に。

今回紹介するのは、前頭側頭型認知症のHYさん。 初診時は60代後半。それまでアルツハイマー型認知症の診断でドネペジルが処方されていた。 約2年4ヶ月の経過を、ほぼカルテからの引用で紹介する。ご家族や施設スタッフ、ケアマネさん達と情報をやりとりしながら、皆…

脳萎縮の左右差と脳血流の左右差から考えたこと。

今回紹介するFKさんは、前頭側頭型認知症の方。 前頭側頭葉変性症の分類でいうところの「意味性認知症」から、「前頭側頭型認知症」へ移行していったと思われる方である。

【症例報告】ATDもしくはSD-NFTと思われる93歳女性の3年経過報告。

初めてお会いしたときは89歳だったHMさんが、先日93歳になった。 当院初診の時点で、既にアルツハイマー型認知症の診断で10年間アリセプト5mgを内服され、メマリー20mgが加わったが、特に何かが改善したということはなく、少しずつもの忘れは進行していったようだ…

「独居」・「内服は一日一回」・「各種サービス導入困難」という条件下で悪戦苦闘。

2年間経過をみている、独居の70代女性を紹介する。

似たもの夫婦。

考え方や性格が似ている夫婦を俗に「似たもの夫婦」と呼ぶが、世の中には頭のCT所見が似ているご夫婦もいるということを先日知った。

【症例報告】初診から2年経過したアルツハイマー型認知症の方。

一般的な認知症外来における抗認知症薬の処方基準とは、どのようなものであろうか? 他院から当院に引っ越してくる患者さん家族の話から推測するに、「認知機能テストが基準以下(HDS-Rなら21点未満)・VSRAD*1で関心領域の有意な脳萎縮」といったことを基準に処方さ…

【症例報告】軽度認知障害~アルツハイマー型認知症の女性。

YNさんの初診から1年半までの経過をご紹介する。 微妙な方には、過剰介入にならないように気をつけて診ている。

【症例報告】夫を見送った後、静かに世を去った女性。

今回ご紹介するNMさんは、高度認知症だった90歳の女性。夫(軽度認知障害)と共に高齢者住宅に入居していた。 3ヶ月以上も不穏不眠で奇声を上げ、他の入居者から苦情が出るほどであった。 初診時は意思疎通が全く取れず評価も困難であったが、施設スタッフと細かく連…

アリセプトへの反応で診断が変更になった方。パーキンソニズムを起こしうる薬には注意が必要。

アリセプト(ドネペジル)は、アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症のいずれに対しても保険適応のある、日本で唯一の抗認知症薬である。 アルツハイマー型認知症(ATD)・・・アセチルコリンが減る認知症 レビー小体型認知症(DLB)・・・アセチルコリンとドパミンが…

【症例報告】特定薬剤への依存を取り除きつつ、全体的には減薬と栄養強化の方向性で調整。

DLBベースにVaD要素を持つKNさんをご紹介。 初診から1年以上が経過しているが、ご家族や施設と情報共有しながら、初診時よりも改善した状態で経過出来ている。

【症例報告】主介護者の怪我で施設入居後。一気に廃用が進んでしまったレビー小体型認知症の方。

今回紹介するのは、レビー小体型認知症の方(OHさん)。かなり遠方からではあったが、熱意のあるご家族にサポートされて通院を重ねた結果、3ヶ月ほどで上手くまとまった。 しかしその後、主介護者である奥さんの怪我を切っ掛けに施設入所を余儀なくされた。そこで、車…

前頭側頭葉変性症(前頭側頭型認知症)と正常圧水頭症の要素を持つ、軽度認知障害の方。

もの忘れと、妻への易怒性発揮を主訴に来院されたKWさん。 頭部CTで水頭症の画像所見と脳萎縮の左右差を同時に見つけた時、将来必要になるかもしれない工夫について考えてみる。

一発勝負の改善例。

一発勝負の外来というのは、何度経験しても緊張する。 今回は、奥さんと娘さんに付き添われて飛行機で〇〇県から来院されたYKさんをご紹介する。

【症例報告】前頭側頭型認知症の改善例(ケアマネさんのファインプレー)

今回紹介するのは、典型的な前頭側頭型認知症の方(UTさん)。 2年前にアルツハイマー型認知症の診断を受け、アリセプトが出されて易怒性亢進というお約束パターンに嵌まり続けていたのだが、担当のケアマネさんが気づいて連れてきて下さったことで改善に繋がった。…

【症例報告】病識の有無で、説明の仕方を変えているという話。

今回紹介するのは、介入3ヶ月で「なかなかいいですねぇ」となったSMさん。 「自分が今までのようではない」という意識(病識)を持っていた方なので、

良くなる可能性はあるが、治療が困難な方。

以前ブログで紹介した方の続報。 www.ninchi-shou.com 状況にやや進展はあったのだが、 まだ治療には至っていない。

元のお父さんに戻った!

認知症外来をやっていると、時に「以前の母(父)に戻りました」という言葉を頂く。 改善例は多く経験してきたが、元に戻ったという評価はそうそう頂けないので、そう言われたときの嬉しさはひとしおである。

バランス感覚を欠いた専門医療は、高齢者にとって凶器になり得る。

とある消化器内科クリニックと心療内科クリニックに通院中であった、高血圧などを持つ独居の80代後半の女性(HSさん)をご紹介する。 経過中に心療内科で認知面低下を指摘され、〇〇病院を紹介された。そこで「アルツハイマー型認知症+パーキンソン病」と診断されて…

一回だけの診察で、情報をどこまで伝えるべきか?

診察で得られた情報を、患者さんや家族にどこまで説明するべきなのだろうか。このことで、しょっちゅう悩む自分がいる。 特に、その情報が確定的なものではなく、自分の推測が多く含まれていて、尚且つその推測に対する明確な対処法(決定的な治療法)がない場合には、…

診断名の変遷(レビー小体型認知症→進行性核上性麻痺)

最初に変性疾患の診断を下した医者が、その患者さんを最後までフォローすることは、恐らくだが殆どないと思われる。 施設入所などをきっかけに主治医が変更になると、病名と薬は概ね引き継がれる。 しかし、最初に診断した医者だけが持ち得た診断に当たっての…

どちらも長谷川式テスト22点だが、対象的な87歳。

支える人が周囲にいるのかどうか。いるならば、その人達に何をお願いすべきか。いなければ、どのように支援体制を構築していけばよいのか。薬は必要なのか。必要でないならば、どのようにして病院とのつながりを保てばよいのか。薬が必要なら、その量や内服回数はどの…